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同一IPによる5時間の投票制限 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 謝罪して切腹すべき 921 (49%) 2 去勢すべき 226 (12%) 3 謝罪して動画を消し1年ほど自粛すべき 159 (9%) 4 しなくていい 156 (8%) 5 ほっておいても消える 86 (5%) 6 2ch包囲網で一生苦しむべき 76 (4%) 7 ヲタケンに弟子入りするべき 46 (2%) 8 1年間くらいvipでネタにされ続けるべき 34 (2%) 9 切腹すべきは梅でしょう。 29 (2%) 10 バカな女にひっかっかったなw 14 (1%) 11 梅と別れて矢吹に2時間土下座 14 (1%) 12 業界から永久追放。恩赦なし。 14 (1%) 13 梅と一生イチャイチャ「だけ」するべき 11 (1%) 14 ハハッワロス 7 (0%) 15 他のババアにも奉仕すべき 7 (0%) 16 焼き土下座 7 (0%) 17 とらぶる1万冊購入すべき 6 (0%) 18 スク水を着て陰部をはみ出すべき 6 (0%) 19 梅と結婚して人と関わらず暮らせ 6 (0%) 20 誰? 5 (0%) 21 (引退したら)いかんのか? 5 (0%) 22 私、痔なんです。 4 (0%) 23 中村イラネ 3 (0%) 24 吸ってないです(o_ _)o 3 (0%) 25 早急に謝罪 3 (0%) 26 矢吹に慰謝料払え 3 (0%) 27 ジョージ 2 (0%) 28 下半身が情熱大陸 2 (0%) 29 介錯は柏木で 2 (0%) 30 梅はお金返すべき 2 (0%) 31 梅はまたシスプリ描いたら許す 2 (0%) 32 これに投票した奴らも一緒に死ぬべき。 1 (0%) 33 これをネタにNTRエロゲを作る 1 (0%) 34 ちょいトイレ行ってくる 1 (0%) 35 オナニー動画上げれば許す 1 (0%) 36 不倫してないです(o_ _)o 1 (0%) その他 投票総数 1866
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仮面ライダー vs 寄生生物 ◆ew5bR2RQj. 白いマントをはためかせ、跳躍する咲世子。 腰に下がっているのは、サーベルに似た形状を持つ羽召剣ブランバイザー。 それを抜き、田村玲子へと肉薄する。 玲子はその姿を一瞥すると、頭部を変形させて一本の刃を伸ばした。 「甘いです!」 だが刃が届くことはない。 常人には視認すらできない速度の刃を、咲世子は空中で弾いたのだ。 防御に成功した彼女は、サーベルの間合いへと足を踏み入れる。 そして玲子に斬りかかろうとした瞬間、玲子の身体が宙へと浮かび上がった。 「甘いのはお前の方だ」 空中を浮遊しながら、ほくそ笑む玲子。 彼女は樹木へと突き刺した刃を支柱に、空中へと浮かび上がっていたのだ。 「私がただ無闇に攻撃したとでも思っているのか?」 空中を十メートルほど移動し、ゆっくりと着地する玲子。 彼女は咲世子の実力を計るため、牽制の攻撃を放った。 さらに万が一の事態に備え、いつでも退避できるようにしていたのだ。 「やはり……一筋縄では行きませんか」 「そのようね」 あくまで余裕があるように、玲子は振舞う。 だがその内心は、あまり穏やかでは無かった。 (あの速度の刃を防ぐか) 寄生生物の刃は、ただの人間では視認できないほど素早い。 それほどの速度の刃を、咲世子は空中で防いでみせたのだ。 たかが人間と油断していたら、首が飛ぶのはこちらの方だろう。 少なくとも草野達よりも手応えはあると、彼女は判断した。 「行きます!」 地面を蹴り、再び玲子の元へと駆ける咲世子。 姿勢を低くし、サーベルを深く構えている。 その構えは日本の剣術に古くから存在する、居合いの構えによく似ていた。 「チィッ!」 刃を伸ばし、咲世子の動きを封じる玲子。 同時に素早く後退することで、自分に有利な間合いを確保しようとする。 咲世子の身体能力は非常に脅威だが、得物がサーベル以外に見当たらない。 彼女は接近戦を仕掛ける以外に、勝利する術がないのだ。 一方で玲子は触手の長さを調整することで、あらゆる距離に対応することができる。 つまり彼女の間合いから離れれば、一方的に攻撃を仕掛けることが可能なのだ。 「とぉ!」 とは言ったものの、それが出来ないのが彼女の現状であった。 咲世子の猛攻は凄まじく、距離を離してもすぐに詰められてしまう。 攻撃に転じたとしても、全てが弾き返されていた。 (やはり咲世子の方が実力的には上……だが) 咲世子の剣戟をいなしながら、一瞬だけ視線を逸らす。 そしてまた、すぐに咲世子へと向けた。 「視線を逸らすとは、随分余裕のようですね!」 咲世子は右肘を後ろに下げ、すぐさま前方に突き出してくる。 放たれた刺突は、玲子の防御を容易く掻い潜った。 「そうでもないさ、むしろギリギリだ」 身体を翻し、寸前のところで玲子は刺突を躱す。 しかし完全に避けきることはできず、刀身は脇腹を抉る。 「減らず口を!」 咲世子は玲子の首筋に視線を注ぎ、剣を大きく振り上げる。 その瞬間、玲子の目が鋭く光った。 (今だ!) 足元に刃を伸ばし、横一文字に斬りつける玲子。 注意力が散漫になる足元であれば、咲世子にも効果があると踏んでの行動。 しかし咲世子は大きく跳躍し、安々と刃を回避してしまった。 「この程度の奇襲が私に通じると思いましたか?」 空中でマントを広げながら、咲世子は玲子を見下ろす。 その高度はおよそ15メートル。 ライダーの力により強化された脚力は、人間の限界を遥かに越えていた。 「少しは通じると思っていたのだがな」 清涼とした声が、淡々とした口調で言葉を告げていく。 そこには後悔や驚愕といった感情はなく、ただ事実だけを告げているものだ。 寄生生物は元から感情表現に乏しいが、今の状況には関係ない。 何故なら彼女の真の狙いは、足元への奇襲ではないのだから。 「それよりもまだ気づかないかしら?」 「一体なにを…………なッ!?」 咲世子の耳に届くのは、バキバキという木が軋む音。 ――――咲世子の傍にそびえ立つ大木が、咲世子の元へ倒れこむ音だった。 「まずい!」 咲世子が気づいた時にはもう遅い。 大木は彼女の身体を巻き込みながら、地面へと倒れこんでいく。 それから数秒、大木は轟音と共に地面へと叩きつけられた。 「…………」 その光景を片目に捉えながら、玲子は距離を取り始める。 先程の真の狙いは、咲世子の傍にあった大木を切り倒すこと。 足元への斬撃を避けた後に、大木の落下を狙う時間差攻撃であった。 寄生生物の作り出す刃は、ボディーアーマーすら紙のように寸断してしまう。 故に大木を一瞬で切り裂きつつ、足元を狙う程度であれば容易く行うことができた。 しかし、今の攻撃が致命傷になったとも思えない。 この程度で死なれてもらっては、期待外れにも程がある。 「……私を失望させるなよ」 ――――SWORD VENT―――― そんな彼女の声が天に届いたからか。 無機質な認証音と共に、巨大な薙刀を手にした白い甲冑の騎士が大木の下から姿を表した。 「やはりそうこなくてはな」 立ち上がった咲世子の姿を見て、嗜虐的に笑む玲子。 だがその表情が見えたのも一瞬。 すぐに美しい女の顔は崩れ落ち、幾つもの触手へと姿を変える。 「私は……ゼロとなり、ルルーシュ様の遺志を継がなければなりません」 息を切らしながら、それでも咲世子は力強く言葉を紡いでいく。 「だからこんなところで果てるわけにはいきません、覚悟ッ!」 そう叫ぶと同時に、勢いよく加速する咲世子。 そして薙刀を振り回しながら、飛び交う刃の中に突っ込んでいった。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「てぇい!」 首筋を狙う刃を、僅かに頭を反らして紙一重で回避する。 側面からの刃は、薙刀の刀身で受け止めた。 そこで発生するわずかな隙。 咲世子を取り囲む刃の包囲網に、ほんの少しだけ綻びが生まれていたのだ。 そして百戦錬磨の彼女は、その綻びを見逃すことはない。 腰に下げておいたサーベルを抜き、玲子へと肉薄する。 そして自らの間合いに入った瞬間、脇腹に溜めておいたサーベルを勢いよく突き出した。 (やった……?) サーベルの先端は、玲子の腹部に深々と突き刺さっていた。 咲世子がサーベルを引き抜くと、傷口から鮮血が吹き出す。 しかし玲子は、全く痛がる様子を見せない。 切れ長の目で咲世子を捉えた後、すぐに攻撃へと転じた。 (やはり攻撃が通じていない?) 迫り来る刃を捌きながら、思案する咲世子。 玲子の身体には、二つの傷跡が残っている。 今もそこから血液が流れ落ち、地面に滴っている。 にも関わらず、玲子は一度たりとも痛がる様子を見せないのだ。 人間の姿をしているのに、あまりにも人間から逸脱している。 化け物の名を冠するに、相応しい存在だ。 しかしどんな生物にも、弱点と呼べるものは必ずある。 無敵の生物など、存在するはずがないのだ。 そして彼女は、玲子の弱点が頭部であることに薄々感づいていた。 冷静に思い出してみると、玲子の攻撃は全てが頭部から繰り出されている。 手足を変形させる素振りも見せないし、使えるのならとっくに使っているだろう。 つまり頭部こそが、田村玲子という生物の核なのだ。 頭部の破壊に成功すれば、おそらく田村玲子の生命活動は停止するはずである。 「考え事か? 余裕だな」 言葉と同時に、飛び交う刃。 「いえ、ギリギリですよ」 薙刀を振り回し、それを払い除ける咲世子。 そのまま返す刀で、玲子の首元へ勢いよく振り下ろした。 「ッ!?」 やった――――そう思えたのは一瞬。 薙刀越しに伝わってきたのは、肉と骨の裂ける感触ではなかった。 「私が作れるのが、刃だけだと思ったか?」 驚愕する咲世子、ほくそ笑む玲子。 彼女の長い髪が白色の肉の帯に変化し、薙刀に巻き付いて受け止めていたのだ。 咲世子は薙刀を引き抜こうとするが、肉の帯の拘束が解けることはない。 そしてそこで発生した隙は、玲子にとっての好機となった。 変化していなかった部分の髪が、鈍い輝きを放つ刃へと変わる。 その光景を見て、急いで離れようとする咲世子。 だがその判断はあまりにも遅かった。 「ああぁぁっ!!」 首筋を冷たい刃が通り抜ける。 それから数秒もせずに、鋭い痛みと熱が走った。 「ぐっ……うっ!」 首筋を抑えながら、彼女は背面跳びで後退する。 「頚動脈を正確に切り裂いたつもりだったのだがな」 薙刀を興味深そうに眺めた後、そっと地面へ置く玲子。 激痛に苛まれ、表情を歪める咲世子。 玲子の狙いは完璧であり、正確に頚動脈を切り裂いていた。 それでも咲世子が命を繋いでいるのは、偏にライダーデッキのおかげである。 咲世子の纏う強化スーツは、致命傷ですら防ぐほどの性能であったのだ。 しかしそのスーツも裂けてしまい、今は素肌が露出している。 次に同じ箇所を切り裂かれれば、命はないということだ。 「まぁいい、これで終わりだ」 玲子の顔が変形し、三本の刃へと姿を変える。 今までに何度も見た光景。 一つ違うのが、咲世子が窮地に陥っているということだ。 「お前は危険過ぎる、ここで死ね」 容赦のない掛け声と共に、三本の刃が飛ばされる。 咲世子は痛みを堪えながら、デッキからカードを一枚引き抜いた。 ――――GUARD VENT―――― 二度目の認証音。 咲世子の左腕に白鳥の翼を模した盾が装着される。 そしてその瞬間、三本の刃が彼女の身体を貫く。 「なに……?」 はずだった。 咲世子は刃が接触する直前、煙のように掻き消えてしまったのだ。 同時に突風が巻き起こり、大量の羽が玲子の視界を埋め尽くす。 「どこに行った!?」 普段は寡黙な玲子が、珍しく声を荒げる。 弱った獲物が目の前から消えたことに、本能が苛立たせたのだ。 目まぐるしく動く羽は、玲子の視界を完全に塞いでいる。 忙しなく視界の端で動くそれは、鬱陶しいことこの上ない。 そしてその障害に紛れ、上空から殺意が飛来する。 白い騎士がサーベルを構え、玲子の頭部を穿とうとしていた。 「くっ!」 間一髪で気付いた玲子は、急いで身体を翻す。 それが功をなし、頭部への直撃は避けることができた。 だが完全にその奇襲を避けるには、反応が遅すぎた。 「チィッ!」 右肩に深々と突き刺さるサーベルの刀身。 咲世子は確かな手応えがあるのを確認すると、サーベルを勢いよく切り上げる。 すると刃を通じて、骨と肉を裂く感触が伝わってきた。 血管や神経の繊維が途切れ、ぷちっとビニールが破れたような音を上げる。 そして、サーベルが玲子の身体から抜けた瞬間。 大量の鮮血と共に、玲子の右腕は地面へと落下した。 「まだです!」 更なる追撃を仕掛けようと、咲世子はサーベルを振るう。 その動きは迅速で、そして鋭い。 自らに傾いてきた流れを逃さぬよう、過敏に責めているのだ。 が、突然その動きが停止した。 玲子は薙刀を奪い取った時のように、長い髪の毛を肉の帯に変形させていたのだ。 (そう来ましたか……) 咲世子が使用しているサーベル――――ブランバイザーは、召喚機の役割も兼ねている。 これを失うことは、全ての攻め手を失うことに等しい。 そうなれば圧倒的不利なのは、言うまでもないだろう。 だから彼女は、攻撃を停止せざるを得なかったのだ。 追撃の手が止んだのを確認し、数歩後退する玲子。 そして咲世子の間合いから離れた地点で、髪の毛を元に戻す。 「………………」 無表情のままに咲世子を見つめる玲子。 彼女から放たれる殺気は、咲世子の肌をぴりぴりと焼き付ける。 一瞬たりとも隙を見せれば、容赦なく切り刻む。 言外にそう告げていた。 「まさか人間がここまでやるとは……驚いたよ」 睨み合いに飽きたのか、突然玲子が口を開く。 どことなく嬉しそうな様子で、視線を右腕に注ぎながらだ。 咲世子はこの時になって、彼女が初めて"喜"という感情表現をしたことに気が付いた。 「化け物め……」 反射的に声が漏れる。 殆どの生物は四肢を切り落とされれば、喪失感を覚えるものだ。 しかし目の前の生物は、まるで痛がる様子を見せない。 落ちた右腕に対して、未練などは欠片も感じていない。 右腕を切り落とした相手に、恐怖や憎悪を抱いたりもしていない。 逆にその行為を賞賛しているのだ。 これを化け物と呼ばずして、なんと呼べばいいのだろう。 とっくに理解していたことであったが、言葉に出さずにはいられなかった。 「私からすればお前の方がよっぽど化け物に見えるがな 我々と対等に戦うどころか、腕を切り落とした人間などお前くらいだ」 皮肉のつもりなのか、玲子は冷たく笑う。 そこから伺えるのは余裕。 この程度では戦況は変わらないという明確な意思表示。 玲子の言葉を、咲世子はそう解釈していた。 (そろそろまずくなってきましたね……) 再び混じり合う両者の視線。 その中で咲世子は、自分に残された時間が少ないことに気付いた。 ライダーに変身していられるのはおよそ十分間。 彼女が変身をしてから、既に七分が経過している。 つまりライダーに変身していられる時間は、残り三分程度しかないのだ。 変身が解除されれば、間違いなく勝利は絶望的になる。 しかしここで自棄になり、考えなしの攻撃を仕掛けるのは愚策だ。 中途半端な攻撃が意味を成さないのは、先のやり取りで痛いほど理解している。 (生半可な攻撃は通用しない、なら――――) ファイナルベントを決める。 それが咲世子に残された唯一の勝ち筋だった。 「…………」 玲子の動向を見逃すまいと、視線を配る咲世子。 そのままブランバイザーの両翼を展開し、腰に装着されたデッキに手を伸ばす。 その瞬間、大気を切り裂く音が耳に届いた。 「クッ!!」 咄嗟に手を退かし、サーベルを振り下ろす。 刃と衝突する金属音が、咲世子の鼓膜を刺激した。 「さっきお前はそこからカードを出して、盾を呼び出していたな」 顔の半分を触手に変貌させた玲子が、唯一人間のパーツである口から言葉を発する。 「ならばもうカードは使わせない、そうすれば新たな武器を呼び出せないのだろう」 触手を生やした顎が、勝ち誇ったように口角を歪める。 そして何本もの触手を、一斉に射出した。 (……まずい!) 触手を捌きながら、臍を噛む咲世子。 彼女の前後左右を取り囲むように、蠢き始める触手。 そう、玲子は咲世子を逃さぬように触手の包囲網を展開したのだ。 触手が迫り来ること自体は、そこまで問題ではない。 刃の切れ味は脅威的だが、その速度にはもう馴れてしまっている。 しかし刃と戯れているだけでは、玲子にダメージを与えることはできないのだ。 触手の包囲網から玲子本体は、咲世子の間合いから僅かに外れている。 故に強引に畳み掛けることは不可能。 おそらく玲子は、そこまで計算して包囲網を敷いたのだろう。 やがて時間制限が訪れれば、事実上の敗北。 玲子がカードデッキの時間制限に気付いたのかは分からないが、現時点では最上の策であった。 「くうっ!」 正面からの刃を、盾で受け止める。 その隙を突き、両側面から現れる二本の刃。 一本はサーベルで弾き返し、もう一本は身体を捻って回避する。 「今なら包囲網を――――」 突破できる。 そう言いかけ、咲世子は閉口した。 攻撃に割いた分だけ包囲網が薄くなっていると判断していたが、それは間違いであった。 玲子は包囲網が突破されない限界を見定め、巧みに攻撃を仕掛けていたのだ。 (なにかここを抜ける手段を!) 刻々と過ぎていく時間の中、咲世子は必死に可能性を模索し始める。 このまま何もしないでいれば、敗北は必至。 彼女にはまだルルーシュの後を継ぎ、ゼロを継がなければならない。 だから負けられない、死ねない。 だが包囲網を脱出する手段も思い浮かばない。 (……万策尽きましたか) 策がない以上、もう強引に突破する以外に手段はない。 ルルーシュであれば、最後まで脱出の策を組み立てたのだろう。 しかし咲世子には、ルルーシュのような頭脳は無かった。 それでも諦めるわけにはいかないのだ。 ルルーシュはどれだけ窮地に立たされようと決して諦めたりはしない。 ならばルルーシュの後を継ぐ彼女が、刀を納めるわけにはいかないのだ。 (ルルーシュ様、ナナリー様……) 心中で自らの主君の顔を思い浮かべる。 ルルーシュの悲願を達成するため、ナナリーの傍にこれからも居続けるため。 絶対にここで果てるわけにはいかないと、咲世子は決意を新たにする。 そんな時だった。 「……?」 彼女の周辺を蠢く触手が、少しずつ狭まってきているのだ。 その様子は、まるで咲世子に全方位攻撃を仕掛ける準備のよう。 このまま包囲していれば、勝利できるのにも関わらずだ。 (よく分かりませんが……) 聡明な玲子が判断ミスを犯すとも思えない。 彼女の顔を伺うが、張り付いた無表情からは何も思い計ることはできない。 単純に時間制限に気付いていなかったのか、それとも罠を仕掛けているのか。 どちらかは分からないが、好機であることに違いはなかった。 サーベルの柄を固く握り締め、盾を深めに構える。 そうして数秒。 刃のような殺気が、咲世子を呑み込む (来る!) 刹那、包囲していた刃が一斉に跳びかかった。 「行きます!」 刃の動きを見て、迅速に行動を開始する咲世子。 包囲網を強引に攻撃に流用したため、至る所に綻びが生まれているのだ。 今ならどこからでも突破することができる。 だが玲子は簡単に包囲網を突破させてくれるほど、柔な相手ではない。 幾本もの触手を巧みに操り、咲世子の命を刈り取ろうとする。 あらゆる方向から、高速の刃が咲世子に迫ってきていた。 胴体を狙う刃を、盾で弾き返す。 首筋をへの刃は、サーベルで切り落とす。 受け損ねた刃もあったが、致命に達する傷を負うこともなかった。 そうした駆け引きを何度も繰り返し、ついにあと一歩で包囲網を脱出できるところまで辿り着く。 「死ね」 風を切る音と共に、刃が走る。 狙いはスーツが裂け、素肌が露出した首筋部分。 咲世子はサーベルを縦に構え、刃に一閃を加えようとする。 「なっ!?」 だが直前になり、刃は自ら二股に裂けてしまう。 それにより空振りに終わる咲世子の一撃。 そして二つに避けた刃は肉の帯に変化し、サーベルの刀身に絡みついた。 「これさえ奪い取れば、もうお前はカードを使えない」 二つの肉の帯は刀身にしっかりと結びついたまま、恐ろしい膂力でそれを奪い取ろうとしてくる。 (……これが狙いでしたか) あの包囲攻撃は囮であり、本当の狙いはブランバイザーを奪い取ること。 確かにこれを奪取されれば、咲世子にとっては完全に詰みだ。 「これでおしまいだ、咲世子」 今の状況は絶体絶命。 少なくとも玲子はそう思っているのだろう。 だが咲世子はそう思っていなかった。 「二度も同じ手が通用するとお思いでしたか?」 手早く盾を肉の帯の根元の触手部分に構え、そのまま上に振り上げる。 すると触手は切断され、サーベルを拘束する力が一気に弱まった。 「甘く見ましたね!」 仮面ライダーファムの持つ盾の名は、ウイングシールドと言う。 その名の通り、契約モンスターであるブランウイングの翼を模した盾だ。 そしてブランウイングの翼は、厚さ四十センチの鉄板でさえ切り裂く性能を持つ。 故にその翼を模した盾にも切れ味があるのは、当然の話であった。 「チィッ!」 玲子は急いで刃をけしかけるが、もう遅い。 咲世子はライダーによって強化された脚力で、森林の中へと飛び込んでいた。 「ハァ……ハァ……なんとか逃げ切りましたか」 木々の間を駆けながら、咲世子は言葉を漏らす。 全身に切り傷が散見し、呼吸も完全に乱れている。 まさにボロボロの状態であったが、それでも絶体絶命の状況からは脱出したのだ。 (あとはトドメを刺すだけですが……) ライダーに変身していられるのは、残り一分程度。 咲世子が不利なことには、依然変わりない。 しかし玲子の間合いから離れたため、アドベントカードを使用できるようになったのだ。 が、今はファイナルベントを使うことはできない。 ファムのファイナルベントは、ブランウイングが突風で吹き飛ばした相手をライダーが切り裂くという技である。 その性質故にブランウイングとライダー、そして相手が一直線に並んでいなければならないのだ。 ブランウイングを召喚するのも、この状況下では上策と言えない。 肝心の発動時にブランウイングが妙な場所にいた場合、タイムラグが生じてしまう。 何をしてくるか分からない玲子には、一瞬たりとも隙を与えたくはなかった。 (最後に……最後にあと一欠片が足りない!) 腰のデッキからファイナルベントのカードを抜き取る。 これが最後の命綱である以上、失敗は絶対に許されない。 だから発動するのは、必殺の状況。 確実に玲子の命を刈り取れる場面だ。 だがその状況を作り出すには、何かが足りなかった。 (なにかあれば……ッ! そういえば!) 握り締めたカードを眺め、ふと何かに気付く咲世子。 足りなかった最後の一欠片が、かちりと当て嵌まる。 そんな感覚を彼女は覚えていた。 (行ける、これなら行ける!) 次々と彼女の脳内で策が構築され、そして完成する。 玲子のファイナルベントを命中させる、必殺の策が出来上がったのだ。 咲世子はボロボロになったデイパックの口を開け、中から"ある物"を取り出す。 それは咲世子に残された、最後の支給品。 逆転の秘策は、最初から彼女の手の内にあったのだ。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ (焦り過ぎたか……) 一方で、玲子は物思いに耽る。 その顔は、完全に化け物のそれだ。 もはや人間に擬態することを無意味と判断したのか、それとも顔を構築するほどの肉が足りないのか。 切断された触手が、次々と玲子の元に戻ってくる。 切断された右肩からは、未だに血液が滴り落ちていた。 「今から咲世子を追うのは厳しいものがあるな……ん?」 森の中に逃げた咲世子を追うのは困難。 そう判断した時、木の葉が擦れる音が玲子の耳に届く。 ゆっくりとその方向を振り向くと、そこにあるのは一際大きな大木。 否、枝の上で悠然と佇む白い騎士。 森の中に逃げたはずの咲世子の姿であった。 (何故戻ってきた?) 寄生生物でも随一といわれる頭脳を駆使して、玲子はそれを推察する。 あの咲世子のことだ、何か必ず目的があるのだろう。 だがその目的を推理するには、時間が足りなかった。 咲世子は左手にカードを構え、今にもサーベルの翼を展開しようとしているのだから。 (しょうがない……) 咲世子の目的は不鮮明だが、カードを使用されことだけは絶対に避けなければならない。 その判断のもと、玲子は頭部から二本の刃を飛ばす。 一本はカードを持つ左腕に、もう一本はサーベルを持つ右腕に。 どちらか一方でも妨害することができれば、カードの認証は制止することができる。 そう思っていた。 「なにっ!?」 だが咲世子の行動は、玲子の思惑を大きく外れていた。 あろうことか、彼女はカードをそのまま投げつけてきたのだ。 玲子はあのカードが単体では役に立たないと踏んでいた。 認証用のサーベルがあって、初めて効力を発揮するものだと思っていたのだ。 しかし今の咲世子の行動は、その推測を根本から覆してきている。 あのカードには、未だに謎が多い。 何をしてくるか分からない以上、何かをする前に叩き切らなければならない。 そう玲子は判断し、攻撃目標をカードへと変更した。 (何も起こらない……?) カードを切り裂くこと自体は、非常に容易かった。 切り裂かれたカードは、何の手応えもなく二つに分かれる。 そしてそのまま強風に煽られ、どこかへと飛んでいってしまった。 ――――ハッタリだったのか? そんな疑念が、玲子の中に渦巻き始める。 その瞬間だった。 「?」 鋭い音と共に、玲子の左肩に何かが突き刺さる。 その正体を確認するために左肩を見た時、彼女は驚愕を隠すことができなかった。 「何が起きている……?」 理解が追いつかず、混乱する玲子。 突き刺さったいたのは、先ほど切り裂いたはずのカードだったのだ。 それだけではない。 周りを見渡すと、いつの間にか景色を埋め尽くすほどに大量のカードが宙を舞っていた。 (このカード……トランプではないか) 間近でカードを眺めることで、ようやく彼女は気付くことができた。 咲世子が投げたのが、アドベントカードではなくただのトランプであったことに。 いや、ただのトランプというのは間違いだ。 これは咲世子のデイパックに入っていた最後の支給品。 "狩人"フリアグネが愛用する宝具の一つ、レギュラーシャープだ。 これは最初は一枚のカードであるが、使用すると瞬く間に増殖して宙を舞う宝具である。 玲子が切り裂いたカードも、増殖したカードの一枚に過ぎない。 咲世子はこれをアドベントカードと誤解させ、攻撃を誘ったのだ。 「まずい!」 混乱から一転、焦燥に包まれる玲子。 百を悠に越す量のカードが、彼女に牙を向けているのだ。 急いで伸びた触手を戻そうとするが間に合わない。 遠くにいる咲世子を狙ったため、触手が限界まで伸び切っていたのである。 つまり今の彼女には、身を守る手段は存在しなかった。 「喰らいなさい!」 咲世子の掛け声と共に、大量のカードが一斉に雪崩れ込む。 その威力の前に白衣は引き裂け、皮膚には幾本もの赤い線が引かれる。 そして伸びきった二本の触手にも、容赦なく襲いかかるカード達。 次々と触手の上を通過して、ダメージを蓄積させていく。 上下左右をカードに囲まれているが故、触手は身動きがとれない。 そしてついにはダメージが限界を越え、二本の触手は地面へと落ちた。 「……落ちましたか」 そう呟き、枝の上から地面へと降りる咲世子。 抵抗手段をもがれた玲子を静かに見据え、ブランバイザーの両翼を展開させる。 そして腰のデッキからファイナルベントのカードを取り出し――――装填した。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 大きな水溜りの中から、一羽の白鳥が姿を表す。 これこそが仮面ライダーファムの契約モンスター、ブランウイングだ。 ミラーモンスターにしては小柄であるが、その力は他のモンスター達と比べても遜色ない。 白い翼が一度羽ばたけば突風が吹き荒れ、その鳴き声は天地を鳴動させる。 (これさえ決まれば勝てる……!) そんな存在を従えた咲世子は、最後の一撃に備え薙刀を構えている。 ファイナルベントは必殺の一撃であるが、使いどころが肝心であった。 阻まれれば隙を見せる形になるし、二発目を撃つことは不可能。 これが唯一の勝ち筋である以上、確実に成功させる必要があった。 だがそれには、変幻自在である玲子の能力は脅威になり得る。 だから無力化しておく必要があったのだが、それには大きな障害があった。 それこそが触手に備わった再生能力だ。 先程の攻防で気付いたのだが、これは厄介な能力である。 いくら切り落としてもすぐに再生するとなると、無力化するのは非常に難しい。 しかし、それでも無効化しておきたい。 そう考えた咲世子は一つの策を編みだした。 それが、限界まで伸ばさせた触手を根元から切り落とすことだ。。 レギュラーシャープをアドベントカードと誤認させれば、玲子は必ず阻止しようとしてくる。 それを利用するために咲世子は距離を取り、限界まで触手を伸ばさせたのだ。 限界まで伸び切っていれば、回収するのにも多少は時間がかかるだろう その証拠に、落ちた触手は本体に戻っていない。 今の玲子は無防備だ。 「行きます」 腰を低く落とし、薙刀を深く構える。 咲世子が迎撃の姿勢を整えた瞬間、烈風がこの空間を支配した。 「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」 怒号を上げ、咲世子は飛来する玲子を見据える。 もう打つ手が無いのか、抵抗せずに吹き飛ばされてくる玲子。 華奢なその身体は、もうすぐ薙刀の間合いまで入ってくる。 入ってきたら、その薙刀を振り回せばいい。 そうすれば玲子の生命活動は停止する。 それで勝てるのだ。 「咲世子」 その時、不意に懐かしい声が聞こえた気がした。 「え?」 もう絶対に聞けるはずがない声。 時には厳しく冷酷であり、目的のためならば手段を選ばない。 しかし心を許した相手には、秘めたる優しさを見せる。 そんな男の声。 「咲世子」 その男は既に死んだ、死んでいるはずなのだ。 だからもうその声が聞けるはずがない。 そう、咲世子は自らに言い聞かせる。 が、次に視界に飛び込んできたものを見た時、そんな思考は頭の中から消え去っていた。 「ルルーシュ……様?」 真っ黒な髪の毛に紫色の瞳、そして不敵な笑み。 それは咲世子が長年仕えた主人、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの顔。 二度と会えるはずのない相手の顔が、すぐそこにあった。 「咲世子――――」 ルルーシュの顔が、邪悪な形に歪む。 「――――お前の負けだ」 それに気付いた時、咲世子は冷たいものが首筋を通り過ぎる感触を感じていた。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「ヒュー……ヒュー……」 空気の漏れる音が、弱々しく大気を震わす。 一定の間隔を保ちながら、ヒュー、ヒューと その音は、まるで口笛の吹けない子供の下手糞な演奏に似ていた。 「…………」 目の前に転がるのは、篠崎咲世子の肉体。 変身は解除され、生身の肉体がそこに投げ出されている。 裂けた首筋からは夥しい量の血液が流れ落ち、彼女はその中で沈んでいた。 瞳からは光が失われ、呼吸は小鳥が囀るよう。 申し訳程度に、指先がピクピクと動いていた。 彼女の命は、もう長くはない。 人体に詳しい玲子でなくとも、そう判断することができるだろう。 咲世子が敗北した理由は、大きく分けて二つある。 まず一つ目は、彼女が寄生生物という存在を知らなかったこと。 寄生生物が刃だけでなく、盾などを創り出せることは彼女も知っていた。 それでも全く他人の顔にまで成り済ませるとは、考えが及ばなかったのだ。 それに加えて、彼女は本体から切り離された組織が自律行動をできることも知らなかった。 つまり本体から触手を切り離しても、まだ抵抗力が残っていることに彼女は気付いてなかったのだ。 ルルーシュの顔に成り済ますことで動揺を誘い、切り離された触手で頚動脈を切断。 スーツの裂け目を狙ったため、それは致命傷になり得た。 そして二つ目は、咲世子の忠義心があまりにも高すぎたことだ。 ルルーシュは死んだ、ここにいるはずがない。 頭でそう理解していても、彼女は手を出せなかったのである。 「…………」 有利な状況下にいた彼女が、わざわざ包囲網を解いた理由。 それはブランバイザーを奪い取るためではない。 咲世子がそうだったように、玲子自身にも残された時間が多くなかったからである。 咲世子は最後まで誤解していたが、寄生生物もれっきとした生物だ。 痛覚が他の生物に比べて鈍いだけで、体内の血液が大量に失われれば死に至ることもある。 故に右腕の切断は、相当の痛手であった。 あの包囲網を敷いていれば、負けることはないが勝つこともない。 だから玲子はあそこで勝負せざるを得なかったのである。 そもそも腕を切断される原因となった奇襲も、回避できたのは偶然に近い。 寄生生物の殺意に敏感という特性をもってしても、寸前まで咲世子の存在に気付くことができなかったのだ。 一歩間違えれば、あの時点で決着が着いていただろう。 (本当に危なかった) 純粋な人間で寄生生物をあそこまで追い詰めたのは、咲世子が初めてである。 だからこそ許せなかった。 あれだけの能力を持った咲世子との決着が、あまりにも呆気ないものだったことが。 最後に彼女が用いた戦術、あれは見事だったと言ってもいい。 あのまま最後の一撃が決まっていれば、確実に玲子は死亡していただろう。 だが最後の一撃は決まらなかった。 あんな悪あがきにも近い行動が、事実上の決定打となったのだ。 玲子は、あれで動揺して手元が狂えばいい程度に考えていた。 だが咲世子は手元を狂わすどころか、薙刀を振るうことさえしなかったのである。 あれだけの実力者であった咲世子が、あの程度の行動で無防備な姿を晒したのだ。 「咲世子」 抑揚のない声で、玲子は目の前に転がる女の名前を呼ぶ。 「何故、あそこで攻撃をしなかったのかしら?」 最後に残った疑問を解消するため、咲世子に問いかける。 だが返事は返ってこなかった。 当たり前だ。 呼吸も満足にできないのに、言葉を発することなどできるわけがない。 (所詮、咲世子も痛がり屋の一人だったか) 寄生生物を圧倒するほどの戦士も、結局は一人の人間に過ぎない。 落胆に近い形で、玲子はこの事実を痛感した。 「ぐっ……ッ!」 唐突に全身の力が抜け、意識が朦朧とし始める。 これは人間で言うところの、貧血の症状に近い。 (これ以上血を失うとさすがにまずいな) 右肩の傷口を見ながら、玲子は思案する。 出血は思ったよりも激しい、即急な手当てが必要。 そう考えるのが普通なのだろう。 しかし彼女は、別のことを考えていた。 彼女が考えているのは、今の自分の状態だ。 右腕を失い、更に血で真っ赤に染まった白衣。 そんな人間に相対したら、誰であろうと怪訝な目を向けてくる 観察をスタンスとする以上、不用意に疑われるのは避けたい。 今後の活動に支障を来さないよう、処置をする必要がある。 幸いにも寄生生物には、それを可能とする方法が一つだけあった。 「咲世子、お前は痛がり屋にしては素晴らしい力を持っていた」 彼女自身がそれをしたことはないが、成功例はいくつか耳にしている。 時間が経過すれば、出来なくなってしまう。 やるなら、今すぐだ。 「だが負けは負けだ」 ぐにゃりと玲子の頭が歪む。 「動物の世界では、勝者は敗者を自由にできるらしいな」 隻腕の肉体から、頭が分離する。 「だから私は、お前の肉体を貰う」 そして分離した頭は、咲世子の肉体へと飛びかかった。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「ふぅ……」 首の切断、新たな結合、そして蘇生。 それらを瞬時に行うことで、新たな肉体に乗り移ることができる。 若干の不安はあったが、どうやら成功したようだ。 対峙したのが、同性の咲世子であったのは幸運だった。 異性では拒絶反応を起こして、身体の操縦がまともにできないと聞く。 「田宮良子の肉体よりも、身体能力は優れているな」 咲世子の肉体は、人間にしては破格の身体能力を持っている。 田宮良子の肉体とは、比較にならないほどだ。 (この女、くノ一だったのか) 肉体を奪ったことで、咲世子の情報が次々と頭の中に入り込んできている。 荒唐無稽な存在だと思っていたが、くノ一というのはどうやら実在するらしい。 くノ一ならば、超人的な身体能力も頷けるだろう。 だが先の連戦での疲労や傷が、大きな妨げとなっている。 少なくとも頸動脈から流れ出た血は、すぐさま補給する必要があった。 (田宮良子の肉体から補給すればいい、腹も減った) もう田宮良子の肉体は用済みだ。 咲世子の頭部と含めて、まとめて食料にしてしまえば問題ない。 だが食事よりも先に、解決してしまいたい疑問があった。 (何故、咲世子は最後に攻撃しなかった?) 確かにあの時の顔や声はルルーシュの物だった。 だが服装はまるで違っていたし、そもそもルルーシュの死は放送で確認している。 あの放送を偽りだと考えるほど、咲世子は愚かではない。 ルルーシュの後を継ぐと宣言していた以上、咲世子は彼の死を認識していたはずだ。 (やはり人間のことは分からない) 玲子は人間の研究をしているが、未だに人間には謎が多い。 こうした不合理な行動も、何となくでしか理解できないのだ。 (これが人間たちが言う絆なのか?) 人間たちの間には家族や恋人など、多くの絆がある。 咲世子の抱いていた忠義心も、一種の絆なのだろう。 先ほど彼女のことを痛がり屋と評価したが、果たしてどこが痛かったのか。 彼女は寄生生物にも恐れず、勇敢に立ち向かってきた。 少なくとも肉体的な痛みではないだろう。 ならば、どこが。 「心か」 おそらく咲世子はルルーシュが死んで、心が痛かったのだろう。 その事を、概念的には理解することができる。 だが本心では理解することができなかった。 寄生生物は群れを作るが、仲間の死を悲しむことはない。 誰かが欠けても、「ああそうか」くらいにしか思わないのだ。 (いずれ分かる時が来るだろうか) 疑問の答えを知っている咲世子は、もうこの世にはいない。 それでも疑問があるのなら、答えを探すだけだ。 ここには多くの悲しみが溢れているに違いない。 人間の観察を続けていれば、いつかはその答えにも辿り着くだろう。 「そのためにも今は食事か」 そろそろ限界だと、身体が訴えている。 一刻も早く血液を補給し、空腹を満たす必要があった。 「この肉体、大切に使わせてもらおう」 田村玲子は新たな疑問を胸に抱えながら、食事を開始した。 【一日目朝/B-3 北西】 【田村玲子@寄生獣】 [装備]篠崎咲世子の肉体 [支給品]支給品一式×2、しんせい(煙草)@ルパン三世、手錠@相棒、不明支給品(0~2) [状態]ダメージ(大)、疲労(大)、貧血、空腹 [思考・行動] 0:人間を、バトルロワイアルを観察する。 1:食事をする。 2:新たな疑問の答えを探す。 3:茶髪の男(真司)を実際に観察してみたい。 4:泉新一を危険視。 5:腹が減れば食事をする。 ※咲世子の肉体を奪ったことで、彼女が握っていた知識と情報を得ました。 ※赤髪の少女(シャナ)、茶髪の男(真司)を危険人物だと思っています。 ※咲世子のデイパック@支給品一式、双眼鏡@現実、と、ファムのデッキ@仮面ライダー龍騎(二時間変身不可)が近辺に放置されています。 ※レギュラーシャープは、風に煽られてどこかへ飛んでいきました。 【篠崎咲世子@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】 【レギュラーシャープ@灼眼のシャナ】 “狩人”フリアグネの持っていたカード型宝具。 最初は一枚のトランプ(スペードのA)だが、無数に増えて自由自在に宙を飛び、 カードの雪崩で敵を切り裂く戦闘型宝具。 と、見せかけて、実はただ単に占いに使うための『自動的に切られるカード』らしい。 時系列順で読む Back 絶望キネマ Next たいせつなひと 投下順で読む Back 絶望キネマ Next たいせつなひと 082 人間考察 篠崎咲世子 GAME OVER 田村玲子 103 緊張
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仮面ライダー vs 寄生生物 ◆ew5bR2RQj. 白いマントをはためかせ、跳躍する咲世子。 腰に下がっているのは、サーベルに似た形状を持つ羽召剣ブランバイザー。 それを抜き、田村玲子へと肉薄する。 玲子はその姿を一瞥すると、頭部を変形させて一本の刃を伸ばした。 「甘いです!」 だが刃が届くことはない。 常人には視認すらできない速度の刃を、咲世子は空中で弾いたのだ。 防御に成功した彼女は、サーベルの間合いへと足を踏み入れる。 そして玲子に斬りかかろうとした瞬間、玲子の身体が宙へと浮かび上がった。 「甘いのはお前の方だ」 空中を浮遊しながら、ほくそ笑む玲子。 彼女は樹木へと突き刺した刃を支柱に、空中へと浮かび上がっていたのだ。 「私がただ無闇に攻撃したとでも思っているのか?」 空中を十メートルほど移動し、ゆっくりと着地する玲子。 彼女は咲世子の実力を計るため、牽制の攻撃を放った。 さらに万が一の事態に備え、いつでも退避できるようにしていたのだ。 「やはり……一筋縄では行きませんか」 「そのようね」 あくまで余裕があるように、玲子は振舞う。 だがその内心は、あまり穏やかでは無かった。 (あの速度の刃を防ぐか) 寄生生物の刃は、ただの人間では視認できないほど素早い。 それほどの速度の刃を、咲世子は空中で防いでみせたのだ。 たかが人間と油断していたら、首が飛ぶのはこちらの方だろう。 少なくとも草野達よりも手応えはあると、彼女は判断した。 「行きます!」 地面を蹴り、再び玲子の元へと駆ける咲世子。 姿勢を低くし、サーベルを深く構えている。 その構えは日本の剣術に古くから存在する、居合いの構えによく似ていた。 「チィッ!」 刃を伸ばし、咲世子の動きを封じる玲子。 同時に素早く後退することで、自分に有利な間合いを確保しようとする。 咲世子の身体能力は非常に脅威だが、得物がサーベル以外に見当たらない。 彼女は接近戦を仕掛ける以外に、勝利する術がないのだ。 一方で玲子は触手の長さを調整することで、あらゆる距離に対応することができる。 つまり彼女の間合いから離れれば、一方的に攻撃を仕掛けることが可能なのだ。 「とぉ!」 とは言ったものの、それが出来ないのが彼女の現状であった。 咲世子の猛攻は凄まじく、距離を離してもすぐに詰められてしまう。 攻撃に転じたとしても、全てが弾き返されていた。 (やはり咲世子の方が実力的には上……だが) 咲世子の剣戟をいなしながら、一瞬だけ視線を逸らす。 そしてまた、すぐに咲世子へと向けた。 「視線を逸らすとは、随分余裕のようですね!」 咲世子は右肘を後ろに下げ、すぐさま前方に突き出してくる。 放たれた刺突は、玲子の防御を容易く掻い潜った。 「そうでもないさ、むしろギリギリだ」 身体を翻し、寸前のところで玲子は刺突を躱す。 しかし完全に避けきることはできず、刀身は脇腹を抉る。 「減らず口を!」 咲世子は玲子の首筋に視線を注ぎ、剣を大きく振り上げる。 その瞬間、玲子の目が鋭く光った。 (今だ!) 足元に刃を伸ばし、横一文字に斬りつける玲子。 注意力が散漫になる足元であれば、咲世子にも効果があると踏んでの行動。 しかし咲世子は大きく跳躍し、安々と刃を回避してしまった。 「この程度の奇襲が私に通じると思いましたか?」 空中でマントを広げながら、咲世子は玲子を見下ろす。 その高度はおよそ15メートル。 ライダーの力により強化された脚力は、人間の限界を遥かに越えていた。 「少しは通じると思っていたのだがな」 清涼とした声が、淡々とした口調で言葉を告げていく。 そこには後悔や驚愕といった感情はなく、ただ事実だけを告げているものだ。 寄生生物は元から感情表現に乏しいが、今の状況には関係ない。 何故なら彼女の真の狙いは、足元への奇襲ではないのだから。 「それよりもまだ気づかないかしら?」 「一体なにを…………なッ!?」 咲世子の耳に届くのは、バキバキという木が軋む音。 ――――咲世子の傍にそびえ立つ大木が、咲世子の元へ倒れこむ音だった。 「まずい!」 咲世子が気づいた時にはもう遅い。 大木は彼女の身体を巻き込みながら、地面へと倒れこんでいく。 それから数秒、大木は轟音と共に地面へと叩きつけられた。 「…………」 その光景を片目に捉えながら、玲子は距離を取り始める。 先程の真の狙いは、咲世子の傍にあった大木を切り倒すこと。 足元への斬撃を避けた後に、大木の落下を狙う時間差攻撃であった。 寄生生物の作り出す刃は、ボディーアーマーすら紙のように寸断してしまう。 故に大木を一瞬で切り裂きつつ、足元を狙う程度であれば容易く行うことができた。 しかし、今の攻撃が致命傷になったとも思えない。 この程度で死なれてもらっては、期待外れにも程がある。 「……私を失望させるなよ」 ――――SWORD VENT―――― そんな彼女の声が天に届いたからか。 無機質な認証音と共に、巨大な薙刀を手にした白い甲冑の騎士が大木の下から姿を表した。 「やはりそうこなくてはな」 立ち上がった咲世子の姿を見て、嗜虐的に笑む玲子。 だがその表情が見えたのも一瞬。 すぐに美しい女の顔は崩れ落ち、幾つもの触手へと姿を変える。 「私は……ゼロとなり、ルルーシュ様の遺志を継がなければなりません」 息を切らしながら、それでも咲世子は力強く言葉を紡いでいく。 「だからこんなところで果てるわけにはいきません、覚悟ッ!」 そう叫ぶと同時に、勢いよく加速する咲世子。 そして薙刀を振り回しながら、飛び交う刃の中に突っ込んでいった。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「てぇい!」 首筋を狙う刃を、僅かに頭を反らして紙一重で回避する。 側面からの刃は、薙刀の刀身で受け止めた。 そこで発生するわずかな隙。 咲世子を取り囲む刃の包囲網に、ほんの少しだけ綻びが生まれていたのだ。 そして百戦錬磨の彼女は、その綻びを見逃すことはない。 腰に下げておいたサーベルを抜き、玲子へと肉薄する。 そして自らの間合いに入った瞬間、脇腹に溜めておいたサーベルを勢いよく突き出した。 (やった……?) サーベルの先端は、玲子の腹部に深々と突き刺さっていた。 咲世子がサーベルを引き抜くと、傷口から鮮血が吹き出す。 しかし玲子は、全く痛がる様子を見せない。 切れ長の目で咲世子を捉えた後、すぐに攻撃へと転じた。 (やはり攻撃が通じていない?) 迫り来る刃を捌きながら、思案する咲世子。 玲子の身体には、二つの傷跡が残っている。 今もそこから血液が流れ落ち、地面に滴っている。 にも関わらず、玲子は一度たりとも痛がる様子を見せないのだ。 人間の姿をしているのに、あまりにも人間から逸脱している。 化け物の名を冠するに、相応しい存在だ。 しかしどんな生物にも、弱点と呼べるものは必ずある。 無敵の生物など、存在するはずがないのだ。 そして彼女は、玲子の弱点が頭部であることに薄々感づいていた。 冷静に思い出してみると、玲子の攻撃は全てが頭部から繰り出されている。 手足を変形させる素振りも見せないし、使えるのならとっくに使っているだろう。 つまり頭部こそが、田村玲子という生物の核なのだ。 頭部の破壊に成功すれば、おそらく田村玲子の生命活動は停止するはずである。 「考え事か? 余裕だな」 言葉と同時に、飛び交う刃。 「いえ、ギリギリですよ」 薙刀を振り回し、それを払い除ける咲世子。 そのまま返す刀で、玲子の首元へ勢いよく振り下ろした。 「ッ!?」 やった――――そう思えたのは一瞬。 薙刀越しに伝わってきたのは、肉と骨の裂ける感触ではなかった。 「私が作れるのが、刃だけだと思ったか?」 驚愕する咲世子、ほくそ笑む玲子。 彼女の長い髪が白色の肉の帯に変化し、薙刀に巻き付いて受け止めていたのだ。 咲世子は薙刀を引き抜こうとするが、肉の帯の拘束が解けることはない。 そしてそこで発生した隙は、玲子にとっての好機となった。 変化していなかった部分の髪が、鈍い輝きを放つ刃へと変わる。 その光景を見て、急いで離れようとする咲世子。 だがその判断はあまりにも遅かった。 「ああぁぁっ!!」 首筋を冷たい刃が通り抜ける。 それから数秒もせずに、鋭い痛みと熱が走った。 「ぐっ……うっ!」 首筋を抑えながら、彼女は背面跳びで後退する。 「頚動脈を正確に切り裂いたつもりだったのだがな」 薙刀を興味深そうに眺めた後、そっと地面へ置く玲子。 激痛に苛まれ、表情を歪める咲世子。 玲子の狙いは完璧であり、正確に頚動脈を切り裂いていた。 それでも咲世子が命を繋いでいるのは、偏にライダーデッキのおかげである。 咲世子の纏う強化スーツは、致命傷ですら防ぐほどの性能であったのだ。 しかしそのスーツも裂けてしまい、今は素肌が露出している。 次に同じ箇所を切り裂かれれば、命はないということだ。 「まぁいい、これで終わりだ」 玲子の顔が変形し、三本の刃へと姿を変える。 今までに何度も見た光景。 一つ違うのが、咲世子が窮地に陥っているということだ。 「お前は危険過ぎる、ここで死ね」 容赦のない掛け声と共に、三本の刃が飛ばされる。 咲世子は痛みを堪えながら、デッキからカードを一枚引き抜いた。 ――――GUARD VENT―――― 二度目の認証音。 咲世子の左腕に白鳥の翼を模した盾が装着される。 そしてその瞬間、三本の刃が彼女の身体を貫く。 「なに……?」 はずだった。 咲世子は刃が接触する直前、煙のように掻き消えてしまったのだ。 同時に突風が巻き起こり、大量の羽が玲子の視界を埋め尽くす。 「どこに行った!?」 普段は寡黙な玲子が、珍しく声を荒げる。 弱った獲物が目の前から消えたことに、本能が苛立たせたのだ。 目まぐるしく動く羽は、玲子の視界を完全に塞いでいる。 忙しなく視界の端で動くそれは、鬱陶しいことこの上ない。 そしてその障害に紛れ、上空から殺意が飛来する。 白い騎士がサーベルを構え、玲子の頭部を穿とうとしていた。 「くっ!」 間一髪で気付いた玲子は、急いで身体を翻す。 それが功をなし、頭部への直撃は避けることができた。 だが完全にその奇襲を避けるには、反応が遅すぎた。 「チィッ!」 右肩に深々と突き刺さるサーベルの刀身。 咲世子は確かな手応えがあるのを確認すると、サーベルを勢いよく切り上げる。 すると刃を通じて、骨と肉を裂く感触が伝わってきた。 血管や神経の繊維が途切れ、ぷちっとビニールが破れたような音を上げる。 そして、サーベルが玲子の身体から抜けた瞬間。 大量の鮮血と共に、玲子の右腕は地面へと落下した。 「まだです!」 更なる追撃を仕掛けようと、咲世子はサーベルを振るう。 その動きは迅速で、そして鋭い。 自らに傾いてきた流れを逃さぬよう、過敏に責めているのだ。 が、突然その動きが停止した。 玲子は薙刀を奪い取った時のように、長い髪の毛を肉の帯に変形させていたのだ。 (そう来ましたか……) 咲世子が使用しているサーベル――――ブランバイザーは、召喚機の役割も兼ねている。 これを失うことは、全ての攻め手を失うことに等しい。 そうなれば圧倒的不利なのは、言うまでもないだろう。 だから彼女は、攻撃を停止せざるを得なかったのだ。 追撃の手が止んだのを確認し、数歩後退する玲子。 そして咲世子の間合いから離れた地点で、髪の毛を元に戻す。 「………………」 無表情のままに咲世子を見つめる玲子。 彼女から放たれる殺気は、咲世子の肌をぴりぴりと焼き付ける。 一瞬たりとも隙を見せれば、容赦なく切り刻む。 言外にそう告げていた。 「まさか人間がここまでやるとは……驚いたよ」 睨み合いに飽きたのか、突然玲子が口を開く。 どことなく嬉しそうな様子で、視線を右腕に注ぎながらだ。 咲世子はこの時になって、彼女が初めて"喜"という感情表現をしたことに気が付いた。 「化け物め……」 反射的に声が漏れる。 殆どの生物は四肢を切り落とされれば、喪失感を覚えるものだ。 しかし目の前の生物は、まるで痛がる様子を見せない。 落ちた右腕に対して、未練などは欠片も感じていない。 右腕を切り落とした相手に、恐怖や憎悪を抱いたりもしていない。 逆にその行為を賞賛しているのだ。 これを化け物と呼ばずして、なんと呼べばいいのだろう。 とっくに理解していたことであったが、言葉に出さずにはいられなかった。 「私からすればお前の方がよっぽど化け物に見えるがな 我々と対等に戦うどころか、腕を切り落とした人間などお前くらいだ」 皮肉のつもりなのか、玲子は冷たく笑う。 そこから伺えるのは余裕。 この程度では戦況は変わらないという明確な意思表示。 玲子の言葉を、咲世子はそう解釈していた。 (そろそろまずくなってきましたね……) 再び混じり合う両者の視線。 その中で咲世子は、自分に残された時間が少ないことに気付いた。 ライダーに変身していられるのはおよそ十分間。 彼女が変身をしてから、既に七分が経過している。 つまりライダーに変身していられる時間は、残り三分程度しかないのだ。 変身が解除されれば、間違いなく勝利は絶望的になる。 しかしここで自棄になり、考えなしの攻撃を仕掛けるのは愚策だ。 中途半端な攻撃が意味を成さないのは、先のやり取りで痛いほど理解している。 (生半可な攻撃は通用しない、なら――――) ファイナルベントを決める。 それが咲世子に残された唯一の勝ち筋だった。 「…………」 玲子の動向を見逃すまいと、視線を配る咲世子。 そのままブランバイザーの両翼を展開し、腰に装着されたデッキに手を伸ばす。 その瞬間、大気を切り裂く音が耳に届いた。 「クッ!!」 咄嗟に手を退かし、サーベルを振り下ろす。 刃と衝突する金属音が、咲世子の鼓膜を刺激した。 「さっきお前はそこからカードを出して、盾を呼び出していたな」 顔の半分を触手に変貌させた玲子が、唯一人間のパーツである口から言葉を発する。 「ならばもうカードは使わせない、そうすれば新たな武器を呼び出せないのだろう」 触手を生やした顎が、勝ち誇ったように口角を歪める。 そして何本もの触手を、一斉に射出した。 (……まずい!) 触手を捌きながら、臍を噛む咲世子。 彼女の前後左右を取り囲むように、蠢き始める触手。 そう、玲子は咲世子を逃さぬように触手の包囲網を展開したのだ。 触手が迫り来ること自体は、そこまで問題ではない。 刃の切れ味は脅威的だが、その速度にはもう馴れてしまっている。 しかし刃と戯れているだけでは、玲子にダメージを与えることはできないのだ。 触手の包囲網から玲子本体は、咲世子の間合いから僅かに外れている。 故に強引に畳み掛けることは不可能。 おそらく玲子は、そこまで計算して包囲網を敷いたのだろう。 やがて時間制限が訪れれば、事実上の敗北。 玲子がカードデッキの時間制限に気付いたのかは分からないが、現時点では最上の策であった。 「くうっ!」 正面からの刃を、盾で受け止める。 その隙を突き、両側面から現れる二本の刃。 一本はサーベルで弾き返し、もう一本は身体を捻って回避する。 「今なら包囲網を――――」 突破できる。 そう言いかけ、咲世子は閉口した。 攻撃に割いた分だけ包囲網が薄くなっていると判断していたが、それは間違いであった。 玲子は包囲網が突破されない限界を見定め、巧みに攻撃を仕掛けていたのだ。 (なにかここを抜ける手段を!) 刻々と過ぎていく時間の中、咲世子は必死に可能性を模索し始める。 このまま何もしないでいれば、敗北は必至。 彼女にはまだルルーシュの後を継ぎ、ゼロを継がなければならない。 だから負けられない、死ねない。 だが包囲網を脱出する手段も思い浮かばない。 (……万策尽きましたか) 策がない以上、もう強引に突破する以外に手段はない。 ルルーシュであれば、最後まで脱出の策を組み立てたのだろう。 しかし咲世子には、ルルーシュのような頭脳は無かった。 それでも諦めるわけにはいかないのだ。 ルルーシュはどれだけ窮地に立たされようと決して諦めたりはしない。 ならばルルーシュの後を継ぐ彼女が、刀を納めるわけにはいかないのだ。 (ルルーシュ様、ナナリー様……) 心中で自らの主君の顔を思い浮かべる。 ルルーシュの悲願を達成するため、ナナリーの傍にこれからも居続けるため。 絶対にここで果てるわけにはいかないと、咲世子は決意を新たにする。 そんな時だった。 「……?」 彼女の周辺を蠢く触手が、少しずつ狭まってきているのだ。 その様子は、まるで咲世子に全方位攻撃を仕掛ける準備のよう。 このまま包囲していれば、勝利できるのにも関わらずだ。 (よく分かりませんが……) 聡明な玲子が判断ミスを犯すとも思えない。 彼女の顔を伺うが、張り付いた無表情からは何も思い計ることはできない。 単純に時間制限に気付いていなかったのか、それとも罠を仕掛けているのか。 どちらかは分からないが、好機であることに違いはなかった。 サーベルの柄を固く握り締め、盾を深めに構える。 そうして数秒。 刃のような殺気が、咲世子を呑み込む (来る!) 刹那、包囲していた刃が一斉に跳びかかった。 「行きます!」 刃の動きを見て、迅速に行動を開始する咲世子。 包囲網を強引に攻撃に流用したため、至る所に綻びが生まれているのだ。 今ならどこからでも突破することができる。 だが玲子は簡単に包囲網を突破させてくれるほど、柔な相手ではない。 幾本もの触手を巧みに操り、咲世子の命を刈り取ろうとする。 あらゆる方向から、高速の刃が咲世子に迫ってきていた。 胴体を狙う刃を、盾で弾き返す。 首筋をへの刃は、サーベルで切り落とす。 受け損ねた刃もあったが、致命に達する傷を負うこともなかった。 そうした駆け引きを何度も繰り返し、ついにあと一歩で包囲網を脱出できるところまで辿り着く。 「死ね」 風を切る音と共に、刃が走る。 狙いはスーツが裂け、素肌が露出した首筋部分。 咲世子はサーベルを縦に構え、刃に一閃を加えようとする。 「なっ!?」 だが直前になり、刃は自ら二股に裂けてしまう。 それにより空振りに終わる咲世子の一撃。 そして二つに避けた刃は肉の帯に変化し、サーベルの刀身に絡みついた。 「これさえ奪い取れば、もうお前はカードを使えない」 二つの肉の帯は刀身にしっかりと結びついたまま、恐ろしい膂力でそれを奪い取ろうとしてくる。 (……これが狙いでしたか) あの包囲攻撃は囮であり、本当の狙いはブランバイザーを奪い取ること。 確かにこれを奪取されれば、咲世子にとっては完全に詰みだ。 「これでおしまいだ、咲世子」 今の状況は絶体絶命。 少なくとも玲子はそう思っているのだろう。 だが咲世子はそう思っていなかった。 「二度も同じ手が通用するとお思いでしたか?」 手早く盾を肉の帯の根元の触手部分に構え、そのまま上に振り上げる。 すると触手は切断され、サーベルを拘束する力が一気に弱まった。 「甘く見ましたね!」 仮面ライダーファムの持つ盾の名は、ウイングシールドと言う。 その名の通り、契約モンスターであるブランウイングの翼を模した盾だ。 そしてブランウイングの翼は、厚さ四十センチの鉄板でさえ切り裂く性能を持つ。 故にその翼を模した盾にも切れ味があるのは、当然の話であった。 「チィッ!」 玲子は急いで刃をけしかけるが、もう遅い。 咲世子はライダーによって強化された脚力で、森林の中へと飛び込んでいた。 「ハァ……ハァ……なんとか逃げ切りましたか」 木々の間を駆けながら、咲世子は言葉を漏らす。 全身に切り傷が散見し、呼吸も完全に乱れている。 まさにボロボロの状態であったが、それでも絶体絶命の状況からは脱出したのだ。 (あとはトドメを刺すだけですが……) ライダーに変身していられるのは、残り一分程度。 咲世子が不利なことには、依然変わりない。 しかし玲子の間合いから離れたため、アドベントカードを使用できるようになったのだ。 が、今はファイナルベントを使うことはできない。 ファムのファイナルベントは、ブランウイングが突風で吹き飛ばした相手をライダーが切り裂くという技である。 その性質故にブランウイングとライダー、そして相手が一直線に並んでいなければならないのだ。 ブランウイングを召喚するのも、この状況下では上策と言えない。 肝心の発動時にブランウイングが妙な場所にいた場合、タイムラグが生じてしまう。 何をしてくるか分からない玲子には、一瞬たりとも隙を与えたくはなかった。 (最後に……最後にあと一欠片が足りない!) 腰のデッキからファイナルベントのカードを抜き取る。 これが最後の命綱である以上、失敗は絶対に許されない。 だから発動するのは、必殺の状況。 確実に玲子の命を刈り取れる場面だ。 だがその状況を作り出すには、何かが足りなかった。 (なにかあれば……ッ! そういえば!) 握り締めたカードを眺め、ふと何かに気付く咲世子。 足りなかった最後の一欠片が、かちりと当て嵌まる。 そんな感覚を彼女は覚えていた。 (行ける、これなら行ける!) 次々と彼女の脳内で策が構築され、そして完成する。 玲子のファイナルベントを命中させる、必殺の策が出来上がったのだ。 咲世子はボロボロになったデイパックの口を開け、中から"ある物"を取り出す。 それは咲世子に残された、最後の支給品。 逆転の秘策は、最初から彼女の手の内にあったのだ。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ (焦り過ぎたか……) 一方で、玲子は物思いに耽る。 その顔は、完全に化け物のそれだ。 もはや人間に擬態することを無意味と判断したのか、それとも顔を構築するほどの肉が足りないのか。 切断された触手が、次々と玲子の元に戻ってくる。 切断された右肩からは、未だに血液が滴り落ちていた。 「今から咲世子を追うのは厳しいものがあるな……ん?」 森の中に逃げた咲世子を追うのは困難。 そう判断した時、木の葉が擦れる音が玲子の耳に届く。 ゆっくりとその方向を振り向くと、そこにあるのは一際大きな大木。 否、枝の上で悠然と佇む白い騎士。。 森の中に逃げたはずの咲世子の姿であった。 (何故戻ってきた?) 寄生生物でも随一といわれる頭脳を駆使して、玲子はそれを推察する。 あの咲世子のことだ、何か必ず目的があるのだろう。 だがその目的を推理するには、時間が足りなかった。 咲世子は左手にカードを構え、今にもサーベルの翼を展開しようとしているのだから。 (しょうがない……) 咲世子の目的は不鮮明だが、カードを使用されことだけは絶対に避けなければならない。 その判断のもと、玲子は頭部から二本の刃を飛ばす。 一本はカードを持つ左腕に、もう一本はサーベルを持つ右腕に。 どちらか一方でも妨害することができれば、カードの認証は制止することができる。 そう思っていた。 「なにっ!?」 だが咲世子の行動は、玲子の思惑を大きく外れていた。 あろうことか、彼女はカードをそのまま投げつけてきたのだ。 玲子はあのカードが単体では役に立たないと踏んでいた。 認証用のサーベルがあって、初めて効力を発揮するものだと思っていたのだ。 しかし今の咲世子の行動は、その推測を根本から覆してきている。 あのカードには、未だに謎が多い。 何をしてくるか分からない以上、何かをする前に叩き切らなければならない。 そう玲子は判断し、攻撃目標をカードへと変更した。 (何も起こらない……?) カードを切り裂くこと自体は、非常に容易かった。 切り裂かれたカードは、何の手応えもなく二つに分かれる。 そしてそのまま強風に煽られ、どこかへと飛んでいってしまった。 ――――ハッタリだったのか? そんな疑念が、玲子の中に渦巻き始める。 その瞬間だった。 「?」 鋭い音と共に、玲子の左肩に何かが突き刺さる。 その正体を確認するために左肩を見た時、彼女は驚愕を隠すことができなかった。 「何が起きている……?」 理解が追いつかず、混乱する玲子。 突き刺さったいたのは、先ほど切り裂いたはずのカードだったのだ。 それだけではない。 周りを見渡すと、いつの間にか景色を埋め尽くすほどに大量のカードが宙を舞っていた。 (このカード……トランプではないか) 間近でカードを眺めることで、ようやく彼女は気付くことができた。 咲世子が投げたのが、アドベントカードではなくただのトランプであったことに。 いや、ただのトランプというのは間違いだ。 これは咲世子のデイパックに入っていた最後の支給品。 "狩人"フリアグネが愛用する宝具の一つ、レギュラーシャープだ。 これは最初は一枚のカードであるが、使用すると瞬く間に増殖して宙を舞う宝具である。 玲子が切り裂いたカードも、増殖したカードの一枚に過ぎない。 咲世子はこれをアドベントカードと誤解させ、攻撃を誘ったのだ。 「まずい!」 混乱から一転、焦燥に包まれる玲子。 百を悠に越す量のカードが、彼女に牙を向けているのだ。 急いで伸びた触手を戻そうとするが間に合わない。 遠くにいる咲世子を狙ったため、触手が限界まで伸び切っていたのである。 つまり今の彼女には、身を守る手段は存在しなかった。 「喰らいなさい!」 咲世子の掛け声と共に、大量のカードが一斉に雪崩れ込む。 その威力の前に白衣は引き裂け、皮膚には幾本もの赤い線が引かれる。 そして伸びきった二本の触手にも、容赦なく襲いかかるカード達。 次々と触手の上を通過して、ダメージを蓄積させていく。 上下左右をカードに囲まれているが故、触手は身動きがとれない。 そしてついにはダメージが限界を越え、二本の触手は地面へと落ちた。 「……落ちましたか」 そう呟き、枝の上から地面へと降りる咲世子。 抵抗手段をもがれた玲子を静かに見据え、ブランバイザーの両翼を展開させる。 そして腰のデッキからファイナルベントのカードを取り出し――――装填した。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 大きな水溜りの中から、一羽の白鳥が姿を表す。 これこそが仮面ライダーファムの契約モンスター、ブランウイングだ。 ミラーモンスターにしては小柄であるが、その力は他のモンスター達と比べても遜色ない。 白い翼が一度羽ばたけば突風が吹き荒れ、その鳴き声は天地を鳴動させる。 (これさえ決まれば勝てる……!) そんな存在を従えた咲世子は、最後の一撃に備え薙刀を構えている。 ファイナルベントは必殺の一撃であるが、使いどころが肝心であった。 阻まれれば隙を見せる形になるし、二発目を撃つことは不可能。 これが唯一の勝ち筋である以上、確実に成功させる必要があった。 だがそれには、変幻自在である玲子の能力は脅威になり得る。 だから無力化しておく必要があったのだが、それには大きな障害があった。 それこそが触手に備わった再生能力だ。 先程の攻防で気付いたのだが、これは厄介な能力である。 いくら切り落としてもすぐに再生するとなると、無力化するのは非常に難しい。 しかし、それでも無効化しておきたい。 そう考えた咲世子は一つの策を編みだした。 それが、限界まで伸ばさせた触手を根元から切り落とすことだ。。 レギュラーシャープをアドベントカードと誤認させれば、玲子は必ず阻止しようとしてくる。 それを利用するために咲世子は距離を取り、限界まで触手を伸ばさせたのだ。 限界まで伸び切っていれば、回収するのにも多少は時間がかかるだろう その証拠に、落ちた触手は本体に戻っていない。 今の玲子は無防備だ。 「行きます」 腰を低く落とし、薙刀を深く構える。 咲世子が迎撃の姿勢を整えた瞬間、烈風がこの空間を支配した。 「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」 怒号を上げ、咲世子は飛来する玲子を見据える。 もう打つ手が無いのか、抵抗せずに吹き飛ばされてくる玲子。 華奢なその身体は、もうすぐ薙刀の間合いまで入ってくる。 入ってきたら、その薙刀を振り回せばいい。 そうすれば玲子の生命活動は停止する。 それで勝てるのだ。 「咲世子」 その時、不意に懐かしい声が聞こえた気がした。 「え?」 もう絶対に聞けるはずがない声。 時には厳しく冷酷であり、目的のためならば手段を選ばない。 しかし心を許した相手には、秘めたる優しさを見せる。 そんな男の声。 「咲世子」 その男は既に死んだ、死んでいるはずなのだ。 だからもうその声が聞けるはずがない。 そう、咲世子は自らに言い聞かせる。 が、次に視界に飛び込んできたものを見た時、そんな思考は頭の中から消え去っていた。 「ルルーシュ……様?」 真っ黒な髪の毛に紫色の瞳、そして不敵な笑み。 それは咲世子が長年仕えた主人、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの顔。 二度と会えるはずのない相手の顔が、すぐそこにあった。 「咲世子――――」 ルルーシュの顔が、邪悪な形に歪む。 「――――お前の負けだ」 それに気付いた時、咲世子は冷たいものが首筋を通り過ぎる感触を感じていた。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「ヒュー……ヒュー……」 空気の漏れる音が、弱々しく大気を震わす。 一定の間隔を保ちながら、ヒュー、ヒューと その音は、まるで口笛の吹けない子供の下手糞な演奏に似ていた。 「…………」 目の前に転がるのは、篠崎咲世子の肉体。 変身は解除され、生身の肉体がそこに投げ出されている。 裂けた首筋からは夥しい量の血液が流れ落ち、彼女はその中で沈んでいた。 瞳からは光が失われ、呼吸は小鳥が囀るよう。 申し訳程度に、指先がピクピクと動いていた。 彼女の命は、もう長くはない。 人体に詳しい玲子でなくとも、そう判断することができるだろう。 咲世子が敗北した理由は、大きく分けて二つある。 まず一つ目は、彼女が寄生生物という存在を知らなかったこと。 寄生生物が刃だけでなく、盾などを創り出せることは彼女も知っていた。 それでも全く他人の顔にまで成り済ませるとは、考えが及ばなかったのだ。 それに加えて、彼女は本体から切り離された組織が自律行動をできることも知らなかった。 つまり本体から触手を切り離しても、まだ抵抗力が残っていることに彼女は気付いてなかったのだ。 ルルーシュの顔に成り済ますことで動揺を誘い、切り離された触手で頚動脈を切断。 スーツの裂け目を狙ったため、それは致命傷になり得た。 そして二つ目は、咲世子の忠義心があまりにも高すぎたことだ。 ルルーシュは死んだ、ここにいるはずがない。 頭でそう理解していても、彼女は手を出せなかったのである。 「…………」 有利な状況下にいた玲子が、わざわざ包囲網を解いた理由。 それはブランバイザーを奪い取るためではない。 咲世子がそうだったように、玲子自身にも残された時間が多くなかったからである。 咲世子は最後まで誤解していたが、寄生生物もれっきとした生物だ。 痛覚が他の生物に比べて鈍いだけで、体内の血液が大量に失われれば死に至ることもある。 故に右腕の切断は、相当の痛手であった。 あの包囲網を敷いていれば、負けることはないが勝つこともない。 だから玲子はあそこで勝負せざるを得なかったのである。 そもそも腕を切断される原因となった奇襲も、回避できたのは偶然に近い。 寄生生物の殺意に敏感という特性をもってしても、寸前まで咲世子の存在に気付くことができなかったのだ。 一歩間違えれば、あの時点で決着が着いていただろう。 (本当に危なかった) 純粋な人間で寄生生物をあそこまで追い詰めたのは、咲世子が初めてである。 だからこそ許せなかった。 あれだけの能力を持った咲世子との決着が、あまりにも呆気ないものだったことが。 最後に彼女が用いた戦術、あれは見事だったと言ってもいい。 あのまま最後の一撃が決まっていれば、確実に玲子は死亡していただろう。 だが最後の一撃は決まらなかった。 あんな悪あがきにも近い行動が、事実上の決定打となったのだ。 玲子は、あれで動揺して手元が狂えばいい程度に考えていた。 だが咲世子は手元を狂わすどころか、薙刀を振るうことさえしなかったのである。 あれだけの実力者であった咲世子が、あの程度の行動で無防備な姿を晒したのだ。 「咲世子」 抑揚のない声で、玲子は目の前に転がる女の名前を呼ぶ。 「何故、あそこで攻撃をしなかったのかしら?」 最後に残った疑問を解消するため、咲世子に問いかける。 だが返事は返ってこなかった。 当たり前だ。 呼吸も満足にできないのに、言葉を発することなどできるわけがない。 (所詮、咲世子も痛がり屋の一人だったか) 寄生生物を圧倒するほどの戦士も、結局は一人の人間に過ぎない。 落胆に近い形で、玲子はこの事実を痛感した。 「ぐっ……ッ!」 唐突に全身の力が抜け、意識が朦朧とし始める。 これは人間で言うところの、貧血の症状に近い。 (これ以上血を失うとさすがにまずいな) 右肩の傷口を見ながら、玲子は思案する。 出血は思ったよりも激しい、即急な手当てが必要。 そう考えるのが普通なのだろう。 しかし彼女は、別のことを考えていた。 彼女が考えているのは、今の自分の状態だ。 右腕を失い、更に血で真っ赤に染まった白衣。 そんな人間に相対したら、誰であろうと怪訝な目を向けてくる 観察をスタンスとする以上、不用意に疑われるのは避けたい。 今後の活動に支障を来さないよう、処置をする必要がある。 幸いにも寄生生物には、それを可能とする方法が一つだけあった。 「咲世子、お前は痛がり屋にしては素晴らしい力を持っていた」 彼女自身がそれをしたことはないが、成功例はいくつか耳にしている。 時間が経過すれば、出来なくなってしまう。 やるなら、今すぐだ。 「だが負けは負けだ」 ぐにゃりと玲子の頭が歪む。 「動物の世界では、勝者は敗者を自由にできるらしいな」 隻腕の肉体から、頭が分離する。 「だから私は、お前の肉体を貰う」 そして分離した頭は、咲世子の肉体へと飛びかかった。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「ふぅ……」 首の切断、新たな結合、そして蘇生。 それらを瞬時に行うことで、新たな肉体に乗り移ることができる。 若干の不安はあったが、どうやら成功したようだ。 対峙したのが、同性の咲世子であったのは幸運だった。 異性では拒絶反応を起こして、身体の操縦がまともにできないと聞く。 「田宮良子の肉体よりも、身体能力は優れているな」 咲世子の肉体は、人間にしては破格の身体能力を持っている。 田宮良子の肉体とは、比較にならないほどだ。 (この女、くノ一だったのか) 肉体を奪ったことで、咲世子の情報が次々と頭の中に入り込んできている。 荒唐無稽な存在だと思っていたが、くノ一というのはどうやら実在するらしい。 くノ一ならば、超人的な身体能力も頷けるだろう。 だが先の連戦での疲労や傷が、大きな妨げとなっている。 少なくとも頸動脈から流れ出た血は、すぐさま補給する必要があった。 (田宮良子の肉体から補給すればいい、腹も減った) もう田宮良子の肉体は用済みだ。 咲世子の頭部と含めて、まとめて食料にしてしまえば問題ない。 だが食事よりも先に、解決してしまいたい疑問があった。 (何故、咲世子は最後に攻撃しなかった?) 確かにあの時の顔や声はルルーシュの物だった。 だが服装はまるで違っていたし、そもそもルルーシュの死は放送で確認している。 あの放送を偽りだと考えるほど、咲世子は愚かではない。 ルルーシュの後を継ぐと宣言していた以上、咲世子は彼の死を認識していたはずだ。 (やはり人間のことは分からない) 玲子は人間の研究をしているが、未だに人間には謎が多い。 こうした不合理な行動も、何となくでしか理解できないのだ。 (これが人間たちが言う絆なのか?) 人間たちの間には家族や恋人など、多くの絆がある。 咲世子の抱いていた忠義心も、一種の絆なのだろう。 先ほど彼女のことを痛がり屋と評価したが、果たしてどこが痛かったのか。 彼女は寄生生物にも恐れず、勇敢に立ち向かってきた。 少なくとも肉体的な痛みではないだろう。 ならば、どこが。 「心か」 おそらく咲世子はルルーシュが死んで、心が痛かったのだろう。 その事を、概念的には理解することができる。 だが本心では理解することができなかった。 寄生生物は群れを作るが、仲間の死を悲しむことはない。 誰かが欠けても、「ああそうか」くらいにしか思わないのだ。 (いずれ分かる時が来るだろうか) 疑問の答えを知っている咲世子は、もうこの世にはいない。 それでも疑問があるのなら、答えを探すだけだ。 ここには多くの悲しみが溢れているに違いない。 人間の観察を続けていれば、いつかはその答えにも辿り着くだろう。 「そのためにも今は食事か」 そろそろ限界だと、身体が訴えている。 一刻も早く血液を補給し、空腹を満たす必要があった。 「この肉体、大切に使わせてもらおう」 田村玲子は新たな疑問を胸に抱えながら、食事を開始した。 【一日目朝/B-3 北西】 【田村玲子@寄生獣】 [装備]篠崎咲世子の肉体 [支給品]支給品一式×2、しんせい(煙草)@ルパン三世、手錠@相棒、不明支給品(0~2) [状態]ダメージ(大)、疲労(大)、貧血、空腹 [思考・行動] 0:人間を、バトルロワイアルを観察する。 1:食事をする。 2:新たな疑問の答えを探す。 3:茶髪の男(真司)を実際に観察してみたい。 4:泉新一を危険視。 5:腹が減れば食事をする。 ※咲世子の肉体を奪ったことで、彼女が握っていた知識と情報を得ました。 ※赤髪の少女(シャナ)、茶髪の男(真司)を危険人物だと思っています。 ※咲世子のデイパック@支給品一式、双眼鏡@現実、と、ファムのデッキ@仮面ライダー龍騎(二時間変身不可)が近辺に放置されています。 ※レギュラーシャープは、風に煽られてどこかへ飛んでいきました。 【篠崎咲世子@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】 【レギュラーシャープ@灼眼のシャナ】 “狩人”フリアグネの持っていたカード型宝具。 最初は一枚のトランプ(スペードのA)だが、無数に増えて自由自在に宙を飛び、 カードの雪崩で敵を切り裂く戦闘型宝具。 と、見せかけて、実はただ単に占いに使うための『自動的に切られるカード』らしい。 時系列順で読む Back 絶望キネマ Next [[]] 投下順で読む Back 絶望キネマ Next [[]] 082 人間考察 篠崎咲世子 田村玲子
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第1話から第47話はリンク集のまとめサイトを参照 第48話 バラノイアの大逆襲 第49話 復活!七本槍 第50話 狙われた防衛軍基地 第51話 ウルトラ戦士復活!月面大決戦 第52話 再会、そして地球へ 第53話 参謀長を守れ!星の戦士たち 第54話 忍者とビーロボの友情作戦 第55話 奪われた宇宙防衛艦 第56話 戦慄の月世界(前編) 第57話 戦慄の月世界(後編) 第58話 超古代編(前編) 第59話 超古代編(後編) 第60話 ナッナッナイスな救出作戦 第61話 スクランブル・ドールハウス! 第62話 爆誕!メタルベルデ 第63話 橘の正義 第64話 東京包囲網 第65話 動き出した帝国(前編) 第66話 動き出した帝国(後編) 第67話 神のセキュリティホール 第68話 ムーンライトジェネレーションズ 第69話 復活!妖怪軍団 第70話 襲撃!エイリアンハンター 第71話 絶望の中の「光」 第72話 跳梁跋扈編(前編) 第73話 跳梁跋扈編(後編) 第74話 復活の魔獣 第75話 今こそ、燦然! 第76話 ジャンヌの祈り エースの奇跡 第77話 やばいぜ!バダムにされたみく 第78話 不死との遭遇 第79話 TAC基地爆破寸前 第80話 虹色の奇跡、5人揃ってゴレンジャー 第81話 ブラック・シープ 第82話 赤く白い決着!奇跡の勇者達 第83話 三バカ救出作戦 第84話 二次元の世界へ 第85話 ハイトロンの行方 第86話 星空の空中都市 第87話 遮られた星 第88話 天女とナマハゲ 第89話 第三の狼 第90話 恐怖!ジョッカー怪人軍団(前編) 第91話 恐怖!ジョッカー怪人軍団(後編) 第92話 正義のスケバンVS新造人間 第93話 ウオノメ・マナコ内紛 第94話 リターンズ・デカレンジャー 第95話 始動!正義のネットワーク 第96話 東京マンハッタンに太陽の子が舞い降りた
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カウスは街の中心部にある、最も高いビルの上から狙撃を行う。 だがそれは昨日までの話だ。 「カウスは真面目だねぇ」 甲高い声質の所為か、シエロの声はどこか呑気そうに聞こえる。 「選ばれし子供達を、間違っても逃がすわけにはいかないからな。スピリットは一つも欠いてはならない。〝神の完成〟のためには、全てのスピリットが必要なのだから」 デファンスシティはイグドラシルの命を遵守するため、自分たちからスピリットを守りたい。イグドラシルによって使わされた選ばれし子供達は、スピリットを集めている。そしてデファンスシティの住人と子供達は昨日接触をした。これらの条件から導き出される、彼らの取り得る策は一つ。選ばれし子供達にスピリットを託し、全力でこの街から脱出させる。 彼らからすれば、今の状況は絶望的。そしてスピリットを子供達に託して脱出させる策は、その絶望の暗闇に差し込んだ一条の光である。カウスは彼らの立場に立って試案を巡らしてみたが、これより他に策は無い。相手の立場に立って考えることは、他者とのコミュニケーションにおいても戦略においても大切なことである。そうすること以外に、相手の腹の内を探る方法など無いのだから。 そうして相手の立場に立って感じ取ることが出来た一条の光。暗闇から抜け出す唯一の道。 だが裏を返せば、その唯一の道さえ塞いでしまえば暗闇に落とすことが出来るということ。 「だからこそ、力を出し惜しむわけにはいかないのだよ」 「だからって、わざわざ自分で出向かなくても良かったんじゃない? いつもみたいに中央から狙撃すれば済む話じゃあないか」 カウスとシエロは今、街の南西の外周部にいる。 デファンスシティ側の拠点は街の南西部にある。子供達は言うまでもなく最短距離での脱出を図るであろうから、街の南西外周に陣取れば、必然的に子供達の先回りが出来ると読んだのである。無論、正面からかち合う可能性は殆どゼロだが、カウスにとって大切なのは距離である。 「御雷は、サジタリモンという種のジャッジメントアローという技を強化する啓示だ。標的を追尾することも可能だが、距離と方向転換の回数によってはその精度も落ちてしまう……昨日の最後の三矢、その内の二矢は恐らく致命傷を与えることが適わなかった。だが今回はそういうわけにはいかない。〝リミット〟の中で確実に仕留めねば」 今いる位置からならば、カウスは敵が街の南西エリアのどこにいようともほぼ一〇〇パーセントの精度で射抜くことが出来る。中央から外周まで全方位を一〇〇~六〇パーセントの精度で制圧できる昨日までの狙撃ポイントより、南東・北東・北西を捨ててまで、南西全体を制圧できるこのポイントを選んだのだ。 普通ならば、この判断は大した博打だ。読みが正しければほぼ確実に子供達を仕留めることが出来るが、もし外れていればその時点でアウト。いかにひっ迫した状況下であるにしても、これは無策に等しい策である。――ただし……重ねて言うが、普通ならば。 「リミットかぁ……何も、そんな君を戦場によこすことは無いのにね」 それを無策たらしめないのが、実はこのシエロなのである。 ウィングドラモンのシエロ。ウィングドラモンというデジモンの特徴は、何と言ってもその圧倒的な飛行速度。シエロをカウスの〝脚〟として動かせば、仮に子供達が真逆の北東に向かおうとも、追いかけてカウスの射程圏内にまで迫ることは容易である。 つまり一見無策にも見えるこの策は、シエロというたった一枚のカードが加わることによって必勝の策となったのだ。 「私は信頼の証と思っているよ。まあ、それが神ではなくフィルの、というのが何とも喜べないがね。そうそう、信頼といえば私は君のことも信頼している。君の協力無しには、この策は使えないのだからね」 「そいつはどういたしまして」 真顔で見つめながら放たれるカウスの言葉を受け、シエロは照れ臭そうに鼻の頭を掻いた。 「んー? でも待てよ。てことはさ、ノナのことは信頼してないの? ノナも連れてくれば良かったのに」 「いや、信頼しているからこそ拠点に残し、全体の指揮を任せたのだよ」 うんうんと頷きながら話すカウス。だが、そんなカウスの様子にどこか納得がいかないのかシエロは、 「ふーん? 置いてきた理由はそれだけ?」 と、意味ありげな質問を意味ありげな視線と共に投げかける。 「それだけだが」 「ふーん?」 「な、何が言いたいんだ……」 シエロの視線にカウスが僅かなたじろぎを見せたその時。 カウスはサジタリモンという種が狙撃の際に発揮する感覚――超直感とでもよぶべき感覚によって、この街の中でたった〝四つ〟しかない人間の気配が大きく動き出すのを察知した。 「これは……!」 これはつまり、子供達が行動を開始したということに他ならない。 だが、それだけではない。デファンスシティ側の多くのデジモン達もまた、子供達が動き出すのと同時に戦線を展開し始めたのだ。開戦。アイゼンベルクとデファンスシティの、恐らく今日が締めくくりとなるであろう戦いが今始まったのである。 しかしカウスに「これは」と言わしめたのは開戦という事実でも、子供達が開戦と同時に動き出したということでもない。 カウスに驚きの感情を齎したのは、子供達が二手に分かれたということである。 こちらが包囲網を敷いていることを、彼らは知らないのだろうか。もし包囲網の存在を知っているのなら、彼らとデファンスシティは突破の成功率を上げるために戦力を集約して臨むはずである。それを分散させるとは。 ―どういうつもりだ。 カウスは考える。 ―包囲網の存在を知らないのだとして……いや、脱出を試みるのなら予めルートの確保・確認は行っておくものだ。子供達だけならともかく、歴戦の勇士で構成されているデファンスシティの者達がそれをしない道理はない。子供達は戦闘のプロフェッショナルではないが、彼らをサポートするこの街の住人はプロフェッショナルなのだ。 だから、素人を相手にする時のロジックではなく玄人を相手にする時のロジックで考えねばならない。 ―となると、彼らは包囲網の存在を知っていて敢えて……? 敢えて戦力を分散させる意味は何だ? 撹乱のつもりか? いや。 ヒントが足りない。相手の意図をくみ取るための要素が。 必要な情報が足りないまま行う推理というのは休むことも同じ。こういった場合はヒントを探すか、もしくは現行の状態で戦闘を行うよりほかはない。 休むに似た考えならば意味はない。ヒントを探している時間もない。だからカウスは、ここで考えることを止めた。下手な詮索は止して、子供達の現在位置を正確に感知する作業に入った。 街の各所で戦闘は既に始まっている。包囲網を成している、カウス自身もまだ見ぬ新型の群れが徐々に街の内側に向かっている。――どうやら飛行して移動するタイプのものであるらしい。三種類いる。サイズはそれほど大型ではない三種。大きいものでも中型だ。フィルはどうやらこの戦闘に相応しい、局地戦向きの部隊をよこしてくれたようだ。これは大きな戦力になる。無くとも負ける気はしないが、これならば圧勝できるだろう。――ノナはよくやってくれているだろうか。デファンスシティの軍勢の一部が中央に侵攻しているが、まだ彼女のいる域には至っていない。そのうちに包囲網の連中が外から、つまり内に攻めている敵の背後からやってくるから、どの道心配はなさそうだ。 子供達はデファンスシティの拠点を離れ、それぞれ街の南方・西方を目指している。今カウスがいる位置からは、必中の射撃を行おうと思ったら少々遠い位置。だが問題は無い。移動速度も決して速くは無い。焦る必要はない。全ては予定と予想の範囲内だ。 落ち着いて状況確認を終えたカウスは、感情の波を殺して集中力を高める。長弓を持つカウスの手には、既に視認できるほどの電流が迸っている。御雷は強力な力である。強力な力だからこそ、極めて高いレベルの集中と、全身全霊のエネルギーを込めることが絶対条件となる。 だがカウスが矢筒より矢を引き抜こうと指をかけたまさにその時、彼の心に再び驚きという名の波が起こった。 子供達が後にしたデファンシティの拠点。ここより、カウスが未だ体験したことがない、他のあらゆる全てを凌駕する速度で動く何かが駆けだした。 「何だ、これは……?」 かつてない戦慄を覚えたカウスは、思わず集中の糸を切られてしまう。 速すぎる。超感覚があるカウスだからこそその存在とおおよその位置を認識できるが、恐らく目ではこれを追うことは不可能だ。耳も役に立たないだろう。この何かは絶対に――そう、まだ対面したわけではないし計測したわけでもないが絶対に――音なんかよりもずうっと速いのだから。 ―これは果たして、何なのだッ? ACT.44 Lightning:3 ~狂い始めた~ カウスは最早、驚きという波に捉われてしまった。こんなにも速い物体というのは、完全に未知なのだ。なまじ超感覚などあって、認知できないものなど存在しない彼だから余計にタチが悪い。知識人ほど好奇心旺盛なように、多くを知っている者ほど、未知に出会った時の衝撃は大きいものである。 ―何なんだ。何だ。速い。速いぞ。何故あんなに速い? 速い。そうだな速い。だが待て。待てよ。そんなことはいい。そんなことはいいじゃないか。……そんなことは今大事か? いや、大事ではない。大事ではないな。そうとも。今考えるべきことではない。そうだ。……では、考えるべきことは何だ? そうだ、その速い何かの正体だ。まずはそれについて考えねば。そうだな……あれは敵なのか味方なのか、そういう簡単なところから考えてみよう。 戦場で生き残るためには、未知に出会っても即座に冷静になることが必要である。そしてパニックに陥りそうな時ほど論理、筋道を立てて考えることは重要だ。カウスは未だ昂ぶっている己の野性的な部分をなだめすかし、まるで問答でも行うような形で、なるだけとっつきやすそうなところから論理的な思考を試みた。 ―まず、そうだな。あれはデファンスシティ側の拠点より動き出した。つまり、敵だ。敵だが、自分が昨日まで戦っていたデファンスシティの軍勢の中にあんなのはいなかった。つまり子供達のパートナーと考えるべきだろう。人間の気配ではないし、そもそも人間があんなに速く動けるはずはないのだから。 カウスはすっかり冷静さを取り戻した。 ―つまり、子供達は三手に分かれたと見て構わないだろうな。三手に分かれたということは……。 そしてカウスは現状を改めて正しく認識するに至る。 ―戦力の分散を恐れずに、いや、恐れていないわけはないのだ。恐れても尚別れたということは……全く、大した奴らだ。 戦力を分散させてまで分かれる理由、いや意図など一つしかない。……それにしても選ばれし子供達というのは、何と勇敢な者達だろうか。 ―彼らの目的は、スピリットを持ってこの街を無事に脱出すること。そして、三手に分かれようがスピリットは一つ。……彼らは、例え仲間が犠牲になろうともスピリットを守る覚悟でいるというのか……! これはいわば、くじ引きを仕掛けられたようなもの。彼らは三手のうち二手を囮にすることで、スピリットを持った者が脱出できる確率を高めようとしているのだ。 考えてみればそうである。彼らにとって、脱出のために最大のネックとなるのは言うまでもなくカウス。包囲網の突破力を高めようと戦力を集めたところで、カウスの放つ御雷をかわす手立てがないのならばそれは無意味。だから、彼らは何よりも御雷を避けることを優先したのだ。三手に分かれれば、外れの二組が射抜かれてもスピリットを持った一組が脱出できれば彼らの勝ち。 ―だが、これは〝そんな次元の策〟ではないッ! 何故ならこのカウスにはリミットがあるからだ! 超感覚にて、三組の構成を読む。超高速で駆け抜ける一組は、これは一組というより一体。おそらくその速さを最大限に生かすためと思われるが、とにかく単独だ。だが残りの二組。そのうちの一組は、人間二人を含む十体。そしてもう一組は十一体。この、数。数が、何よりもカウスにとって厄介であった。 カウスは疑問に思った。デファンスシティ側は、一体どれほど正確に自分の御雷を理解しているのだろうか、と。 皆様は覚えているだろうか、カウスがこの戦に参加した初日、つまり戦が始まって四日目に彼が仕留めた敵の数を。十六体である。この数は決して偶然ではない――撃破した数が偶然十六体であったということではないという意味である――必然なのだ。十六体でなければならないのだ。十六体〝しか〟、彼は一度の戦いで射抜くことができないのだ。先ほどから彼が口にしているリミットとは、つまり一度の戦いで放つことのできる矢の数なのである。 ただでさえエネルギー消費が激しいジャッジメントアローという技。それを強化して究極体のレベルにまで引き上げたこの御雷は、成熟期のカウスには過ぎた力なのだ。かといって、通常のジャッジメントアローならばカウスはリミット無しに放てるのかというと、そうではない。ジャッジメントアローにさえリミットがある。 そもそも、サジタリモンとは難儀な種である。アーマー体であり、また、稀にケンタルモンが同期進化(成長段階が同じデジモンに特殊進化する現象を、ここでは仮にそう呼ぶ)でも至ることがある。だがどちらの進化ルートでも、このサジタリモンの状態でいること自体が激しい体力消費を伴う。そんな状態で、更に膨大なエネルギーをつぎ込まねばならないジャッジメントアローを放つ。この時点ですでに体力の消耗は尋常ではない。普通のサジタリモンならば、これは三矢放つことができれば良い方である。 だがカウスはというと。カウスはこれを二十矢近く放つことができるのだ。カウスという個体は、通常のサジタリモンなど比較にならぬほど屈強なのである。しかも、進化状態が解除されたなどということは未だかつて一度もない。どれほど消耗が激しかろうと、サジタリモンに進化する以前の姿に戻ってしまうということはないのである。 尋常ではない屈強さを誇るカウス。だが、そんなカウスにとってもこの御雷の負荷は大きい。一度の戦いで最大十六矢。それが、カウスの体力の限界。撃ち切った後は最低でも十時間、体をしっかりと休めなければ命にかかわる消耗となる。四日目の戦いで、アイゼンベルク側が早期に引き上げた理由はここにある。下手に戦闘を長引かせても、カウスがいなかればここ一番で押し切られる可能性があった。そして五日目で確実に攻めきるためにも、カウスをきっちり休ませる必要があったのである。 しかし。十時間休ませなければ命にかかわる消耗となるとはいったが……実際は、〝たとえ休ませようとも〟彼の命は削られてゆく――。 ―デファンスシティの住人達が、観察と考察によって私のリミットに気づいた可能性はある……だがしかし、今はそんなことは関係ないな。大事なのはそう……数だ。 超高速の一組を除いた二組は、十体と十一体で構成されている。これはカウスにとってどういうことか。 たとえば、カウスが最初に十体の組を狙うと仮定する。二体の人間は判別できるが、それ以外はデジモンであること、そしてそのおおよその体格しかわからない。八体のうち二体は子供達のパートナーだとして、残りの八体はデファンスシティのガード。誰がスピリットを持っているかは分からないが、子供達か、そのパートナーが持っていることはまず間違いない。だが、子供達はともかくそのパートナーが誰か、ということが判別できない。判別できないということは、結局全員を射抜かなければ意味がないということ。最初に十体の組を狙うと仮定したこの場合、カウスはまず無条件で十矢放たなければいけないことになる。新型の群れはやがて、あるいはカウスが射抜いた時点ですでに子供達と接触しているかもしれないので、彼らのいずれかがスピリットを持っていたのならば回収は可能。だが、十体の組がダミーであった場合。カウスは十一体の方に目を向けなければならない。だが、この時点でリミットは残り六矢……そう、足りない。 ―絶対的に数が足りないのだ! 三手に分かれて脱出を試みるこの策は、本来ならば私の御雷の前に完全に無効化されるはずだった! 三組に分かれようとも、この御雷をかわせないのならば意味はないからだ! だが、かわせなくとも破る策があった! 彼らはそれを見出した! 私の超感覚の限界、そして御雷のリミットを――彼らは見事に利用して見せたのだ! 超高速の存在も含め、これは二十二個の中からたった一つの当たりを引くクジ! 引ける回数は十六回! 実際の結果はカウスの勝利となるか、子供達の勝利となるかはまだ分からない。だが、これは大した策である。カウスによって子供達の光は完全に閉ざされたかのように見えた。光の出所を、カウスは完全に塞いで見せたつもりだった。にも拘わらず、子供達は塞いだその隙間を覗き込むようにして、可能性という名の希望を掴み取ったのである。 ―さて、ではどれを最初に狙うか。……いや、考えるまでも無かったな。 そう、最初に狙うべきは決まっている。 超高速で駆ける敵だ。 デファンスシティの拠点は街の南西部にある。そこから真南と真西に脱出を図る二組。これは包囲網との衝突で、まだ足止め、上手くいけば撃破だって可能だろう。だがこの超絶に速い敵は、恐らく全てのデジモンの中でもトップクラスの速さを持っている。アイゼンベルクの新型とて、これに追いつけるかどうかは甚だ疑問である。 そして当然敵方もそう思っている。主観的に見ても客観的に見ても、三組のうち最も突破率が高いのはこの速いのである。だからスピリットを持っている可能性が一番高いというわけではないが、誰が持っているか分からない以上、最も突破率が高いものから潰していくのが常套手段というもの。 ―だが、いまいち解せんな。 しつこいようだが、子供達のスタート地点は街の南西部なのだ。だから二組がそれぞれ南と西に行くのは分かる。単純に、脱出までかかる距離と時間が短いからだ。だがこの速いのは――何故か東に、つまり街の中央部に向けて走っているのである。 ―何故だ? 何故わざわざ遠い方に? 何故、わざわざ戦闘が激しいエリアを抜けようとしている? カウスは集中する。 速いのは四足で駆けている。走りのテンポは緩やかだ。一蹴り一蹴りが強力だが、テンポは緩慢。――つまり、まだ余裕がある。全力で走ってはいない。 テンポが変わった。 敵と遭遇したらしい。どんな戦いをするのだろう。……いや。 ―そうか。 ひとっ飛びに飛び越えて、無視してそのまま逃げた。 ―あのスピードなら、ガードロモン程度は楽にかわせる。そして、一度かわしたらもう追いつかれない。激戦地だろうとお構いなし、か。だがまだ分からないな。お構いなしだろうと、わざわざ激戦地を通る理由にはならない。もうすぐこちらの本陣に接触するやも――しまった。 カウスの心に、この日一番の大きな波が立つ。 「シエロ! 私を運んでくれ!」 「……え?」 ただし、この日起ったそれまでの波とは異なる波が。 「緊急事態だ……ッ!」 「カウスはこう思っているだろうな」 アスファルトの上を走りながら、蒼太は竜乃に語る。 「『子供達は、きっとどんな犠牲をはらってでもこの街からスピリットを持ちだす覚悟なのだ』と」 竜乃を気遣ってか、蒼太の走るペースは比較的ゆっくりである。カクは、これから出会うであろう敵と戦わねばならない。昨日のように竜乃を背に乗せてやるわけにはいかないのだ。 「っハアッ、それが、私たちの策ですものね……ハアッ」 それでも竜乃は苦しそうだ。 「俺達が二手に分かれた時点で奴はそう思う。そしてシンスケの登場。二手に分かれたのは、いわゆる布石ってやつだ。いや、〝条件付け〟とでも言うのかな。心理学的には」 蒼太は、自分たちに合わせて横を走るカクを見やる。彼は今ワーガルルモンである。 「俺に心理学とやらの知識はないが、お前がそう言うのならそうなのだろう」 「俺達が仲間を犠牲にしてまでスピリットを持ちだそうとしているそう思い込んだカウスは、超スピードで駆けるシンスケを感知した時こう思うはずだ」 蒼太は周囲を警戒する。だが、一向に敵の気配はない。今の今まで気づかなかったのは少々滑稽だが、この街は相当に広いようだ。包囲網を成しているデジモン達が内に向かっているにも拘らず、今だに自分たちと接触しないのはそうであるからに違いない。 「こいつが一番脱出の可能性が高い、と。他の奴がスピリットを持っている可能性はある。この速い奴は囮かもしれない。でも、そうでない可能性……つまりシンスケが当たりである可能性が万に一つでもある限り、最も脱出が容易そうな速いやつを……」 「シンスケさんを最初に倒さなきゃ、そう考えるのが自然ですね……ぜぇっ」 「ん……少し休もうか」 蒼太はガードに着いているデジモン達に合図を送り、ビルの影に入って一旦竜乃を休ませることにした。できればタイムロスは避けたいが、これは仕方がない。走れなくなってもらっても、それは余計に困る。……というのは作戦上の話で、心の底から蒼太はそう思っているわけではない。いざとなったら自分がおぶってでも走る覚悟はある。 「更にシンスケが自陣のど真ん中に突っ込んでいくような真似をすれば、絶対に無視はできないだろう」 「しかし、あの短時間でよくもまあこれだけの策を用意したものだな」 自分のパートナーの力量に感心するのは何度目だろうか、と思いながらカクは言う。 「ふっ……カウスは、俺達が仲間を犠牲にする覚悟でいると思っている。相手の立場に立って考えることは、相手の策を図るうえで大切なことだ。……けど。〝だからこそ、そこを利用してやる〟。俺達は誰一人欠けることなくこの街を出てみせる! ……つまり、奴の認識している俺達の覚悟と、実際に俺達が抱いている覚悟は違うってわけだ」 「なるほど……騙すための虚像を、二手に分かれるという手でつくったわけか。その手をうけた相手がどう読んでくるかまで考えたうえで……」 「奴が考えるこちらの策と、実際に俺達が実行している策は違う。だから、奴は誤った対処法をとる。奴は、〝奴が考えるこちらの策〟に最善の手を打とうとするだろう。だが、認識の齟齬が生まれている。噛み合わないわけだ。これから奴が打つあらゆる手は実際に俺達が持っている策に対してもある程度は有効だろうが、決定打になり得ることは絶対にない」 認識の誤り。誤解。すれ違い。誤謬。齟齬。人間関係であれば、これは時に致命的なものとなる。これを避けるために、相手の立場に立って考えることが大事になる。蒼太はそこを利用したのだ。戦略において相手の立場に立って考えることが重要なのは、相手の策を読み違えないようにするためである。つまり逆にいえば、〝相手が考えるこちらの立場〟を誤って認識させることで、策を読み違えさえることができるのである。 人間関係であれば避けるべき事態を、蒼太はあえて引き起こすことで策としたのだ。 「すいません、蒼太さん……私……その……」 「いや、構わないよ。……話せば苦しさも紛れるかと思ったんだが……逆効果だったみたいだな。ごめんな」 蒼太はフッ、と半ば自虐的に微笑む。 「違うんです……あの……」 「どうした? 足をくじいたのか? 蒼太、場合によっては俺がこのコを担いで……」 「そうだな……急な襲撃に対する対応は遅れるかもしれないが、背に腹は代えられな……」 「ち、違うんです! あの……」 「?」 「お、おトイレ……行きたく」 竜乃はもじもじと股を抑え、顔を赤くして縮こまる。 「あー……」 こんな時に非常に不謹慎だが、蒼太は妙に和んでしまった。 さて、ここまでの戦況を見る限りでは、カウスは見事に子供達の策に嵌っているように思われる。子供達は少なくともそう思っているだろう。 だが、これは間違いである。それこそ認識の誤りである。 蒼太は、シンスケが街の中央に向かえば〝カウスは自分の身を守るために〟絶対にシンスケを無視できないと読んだ。これは、カウスが街の中心部を離れて南西に待機していたことを知らなかったためである。従って、これは誤解である。 カウスは、確かにシンスケが中央に、自分たちの拠点に向かっていることに危機感を覚えた。焦りを覚えた。だがこの戦いを客観的に見ている者なら一目瞭然のように、カウスはそもそも中央にいなかったにもかかわらず、だ。 では、カウスは何故、何に焦ったのだろうか。 それは、彼が急ぎシエロの背に乗った時のセリフを聞けば分かることである。 「緊急事態だ……ッ!」 「え? 一体何が起こったの?」 「……ノナが危ないッ!」 ノナ。 カウスは、たった一人の乙女の心配だけをしていたのである。 ノナのことは子供達も知らない。その存在をアシュラモンから聞かされていたとしても、彼らは彼女に対するカウスの気持ちを知らない。だから、ひょっとしたらこれからカウスは彼らにとって想定外の行動を起こすやもしれない。いや、実際起こしている。中央にいるはずであったカウスは、〝今中央に向かっている〟のだ。既に歯車は狂い始めている。ああ、こなんということだろう。ここにもまた、すれ違いが生まれてしまった。 カウスは子供達の真意を誤って認識している。だから彼らの真の意図も、その策も分からない。誤謬がある。 このデファンスシティで行われている戦。その中で行われているスピリット争奪戦。この争奪戦は、子供達の思い通りにも、カウスの思い通りにもいっていない。両者の認識の間だけでなくその両者の認識それぞれが、現実に今起こっている事態との間に齟齬を生じさせてしまっている。 子供たちもカウスも気付いてはいないが――この戦いは今、誰の思うようにもいっていない。 BACK LIST NEXT
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ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド 【メーカー】エレクトロニック・アーツ 【発売日】2005/12/22 動作報告 hdl0.7c SCPH-3900 クリアまで問題なし HDL0.7c(/N /L /C) SCPH-50000NB(V10) 純正 hdl_dumb+ 0.8.3-6β3 数時間プレイして不具合見られず。 商品の説明 【改造と爆走を極めるニード・フォー・スピードが、更にキケン度を増して帰ってきた!】 バリバリにチューニングされた改造車で夜な夜な繰り広げられるストリートレース―― 「ニード・フォー・スピード」は、そんなアブナイ若者カルチャーをスタイリッシュに演出し、全世界で2500万本以上を売り上げる大ヒット シリーズに成長してきました。 第3作目のタイトル「モスト・ウォンテッド」は、“最重要指名手配者” の意味。 チューニングやレース要素を大幅にパワーアップさせた本作は、さらにストリートレースのアンダーグラウンドな魅力に着目し、パトカーとの壮絶カーチェイスという全く新しいコンセプトを搭載。 これまでのシリーズ作品から劇的な進化と変貌を遂げています。 ストリートレース界で名を上げるにつれ、警察から厳しくマークされる “お尋ね者” になっていくプレイヤー。 警察は、同じくブラックリストに名をつらねるライバルたちとのレースバトルの最中にも、執拗にプレイヤーを追い回します。 サイレンが聞こえたらレースを放り出し直ちに逃走、そしてパトカーの包囲網を突破! ハリウッド映画ばりの逃走劇は、アドレナリンラッシュの連続です。 さらに、驚くほど自由度の増したオープンロードのマップ、ニード・フォー・スピードシリーズ初のBMWやメルセデス・ベンツなどの超高級車ラインナップなど、レースゲームファン、クルマファンの触手を刺激する新要素も多数搭載。 あらゆる側面からスケールアップした「ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド」をお楽しみ下さい。
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反日 / 左翼 ● 反日亡国論〔Wikipedis〕 反日亡国論(はんにちぼうこくろん)は、日本の新左翼である大森勝久が1970年代に主張した思想。アイヌ革命論など「反日」の立場から、「日本を滅亡させる」べきとする。 1970年代、大森勝久は新左翼の理論として太田竜の窮民革命論やアイヌ革命論などの影響を受け、更に梅内恒夫の手記「共産主義者同盟赤軍派より日帝打倒を志すすべての人々へ」が、その理論的形成のきっかけとなった。「反日亡国論」は、単に帝国主義戦争に反対する立場から自国の敗戦と革命を目指す「革命的祖国敗北主義」ではなく、また単に「明治以降の日本帝国主義が為した悪行」を批判するのでもなく、歴史をはるかに遡って日本国の建国や日本民族による歴史そのものを否定し、その絶滅を主張した。この立場では、いわゆる「日本人」は、己が「抑圧者・犯罪民族」たる日帝本国人であることを充分自覚し、自己否定していかなくてはならない。日本は償いきれない犯罪を積み重ねてきた反革命国家であり、醜悪な恥晒し国家・民族であるので、日本を「祖国」と思うこと自体が最大の反革命思想であり、積極的に民族意識・国民意識を捨て去って「非国民」になれと説く。そして反日亡国論を全面的に受け入れて反日闘争の闘士となることで、初めて「抑圧者・犯罪民族」という「原罪」から解放されるとする。 ● 窮民革命論〔Wikipedia〕 従来の共産主義理論において、革命の主体たりえる者は「労働者階級」とされてきた。そして最下層階級は極貧すぎてその日暮らしが精一杯であり、革命に対する意欲が薄いどころか反革命の温床となりかねないことから「ルンペンプロレタリアート」として軽視していた。ところが新左翼活動家で「世界革命浪人(ゲバリスタ)」を名乗る竹中労・平岡正明・太田竜らは、新たに「窮民革命論」を唱え、注目を浴びた。これは「一般の労働者は高度経済成長によって豊かな生活が享受できるようになったことで革命への意欲を失っており、革命の主体にはなりえない。疎外された窮民(ルンペンプロレタリアート)こそが革命の主体となりえる」という理論であり、日本における窮民の具体例として、アイヌ民族、日雇労働者、在日韓国・朝鮮人、沖縄人、部落民を挙げている。この理論は、全共闘運動の行き詰まりを感じていた新左翼活動家に強い影響を与え、日本の民族問題に関心を持つ者が増えた[2]。そして、これら「窮民」に対するオルグを図り、彼らを取り込もうとした。やがてその中から、反日テロを行った東アジア反日武装戦線が現れることになった。そして、思想を更に先鋭化させて反日亡国論が台頭することになった。 ■ 反日左翼の考え方 反日亡国論 「memo(2014.9.15)」より / 620 :名無しさん@0新周年@転載は禁止 [] :2014/09/14(日) 15 08 06.78 ID rkac00hH0 [PC] 「爆弾をペンに持ち替えた新左翼過激派」それが朝日新聞社 ■□■□ 反日亡国論 ■□■□ 反日亡国論(はんにちぼうこくろん)は、日本の新左翼が1970年代に主張した思想。 この立場では、いわゆる「日本人」は、 己が「抑圧者・犯罪民族」たる日帝本国人であることを充分自覚し、 自己否定していかなくてはならない。 日本は償いきれない犯罪を積み重ねてきた反革命国家であり、 醜悪な恥晒し国家・民族であるので、 日本を「祖国」と思うこと自体が最大の反革命思想であり、 積極的に民族意識・国民意識を捨て去って「非国民」になれと説く。 そして反日亡国論を全面的に受け入れて反日闘争の闘士となることで、 初めて「抑圧者・犯罪民族」という「原罪」から解放されるとする。 単に「明治以降の日本帝国主義が為した悪行」を批判するのでもなく、 歴史をはるかに遡って日本国の建国や日本民族による歴史そのものを否定し、 「反日」の立場から、「日本を滅亡させる」べきと主張した。 「日本打倒戦略」 日本を戦争に巻き込ませる。そのきっかけとなる国は大韓民国である。 まず手始めに韓国人の排外的韓国民族主義を煽ることで反日感情を醸成、 韓国に巣食う「親日派」を粛清する。 そして「反日軍事政権」が日本に宣戦布告し、最低でも10万人の自衛隊員を戦死させる。 同時に「琉球共和国」が独立を宣言する。そして日本やアメリカに宣戦を布告し、 韓国とともに対日侵略戦争に参戦する。 また東南アジアでも反日感情を煽る。そして、アラブ諸国の日本向けの原油輸出を阻止し、 かつてのABCD包囲網のように「反日包囲網」が日本を取り囲み、自滅を促すというものである。 「日本滅亡」後、日本人は老若男女を問わず裁判にかけられ、 大多数は「日帝本国人」であるため有罪で死刑に処せられる。 地球上から日本人が消滅するというシナリオである (※ 以下略、詳細はブログ記事で) .
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8/6 フラクタル(フランス視点) 現代日本型一国平和主義プレイ フランスの文化的勝利。戦争は一切無し。アラブさんレポも見てください。 初期配置~拡張 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (map_civ40806.JPG) ランダムで選択された指導者はフランスのルイ14世、創造志向で文化的な発展に優れたリーダーである。ここ数回のプレイでゲーム開始15分斧ラッシュ沈没を連続して経験しているため、もう少しじっくりとそして穏やかなプレイがしたかった。初期の研究については、他文明に宗教指導者がいるため、瞑想と多神教は後回しにし、ユダヤ教か儒教を目指すことにする。森林伐採のため青銅器は発明するが、とりあえず隣人が見当たらないため鉄器及びアルファベットも後回しとする。 初期戦士の散策によりフランスの首都パリは絶海の孤島の南部に位置することが判明。孤島といっても比較的広く都市を5つほど建設できるくらいの面積はある。パリの近海には魚群や蟹も生息しており、衛生資源には当分苦労しなさそうだ。全体チャットから察するに他プレイヤーも孤島であるらしい。この時点で全員が孤島であると思ったのだが後に誤りであることが分かる。 パリの近郊には大理石があり、軍事的な脅威も無いことから、仏教、ヒンズー教の創始争いが終わった時点から真っ直ぐアポロ神殿建設に向かう。これは他国のストーンヘンジと同時に完成。 モ「ちょ、アリエナ(ry」 という声が聞こえてくる。わっはっは。ここでは君主政治を入手。でも余り役に立たなそう。アポロ神殿のために研究した聖職から法律に発展させ、無事儒教の創始に成功。まずまずな展開だ。ここで文化的勝利を視野に入れる。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (isle_french.JPG) 儒教を創始した時点でスコアは上から3番目くらい。さらに道教の創始を目指し哲学、そこから自由主義の流れに繋ごうと思ったが、かなりのターン数が掛かることが分かった。技術交流する相手も見つかっていない(厳密には探そうともしていない)ので、取り逃した初期技術の取得に戻る。海洋技術に手を伸ばし他国との接触を図るのが順序であろうが、マッタリプレイにはやぶへびになりそうな予感がしたので、他国に発見されるまで積極的に出ない方針に決めたw そんな感じで足踏みをしているころ、複数の文明のスコアがグイグイ上がり始め、フランスはあっという間に最下位になってしまう。他国で技術交流が始まったらしい。ここで全員孤島というのは間違いであったことを悟る。 AD15~AD1000 しばらく後、交易路経由で儒教が海を渡って東の大陸に居るアラブに伝播する。これが初の外国との接触となった。交流が無くても交易路が形成されるなんて知らなかった… ここでちょっと考えることが出てきた。ここまでは戦士3体の平和主義プレイを続けてきたが、アラブから求められるであろう技術交流の際、鉄器も持っていません、軍事に全く興味がありません、では怪しまれるだろう。そう思い、哲学の研究を停止、急いで鉄器、弓術、アルファベットを開発する。そんなことをしている間に他国にて道教が創始される。ちょっとショック。 AD200頃、アラブとの外交窓が開かれる。初の外交であることを告げると、我が国の発展途上具合に安心したのか平和協定を求められる。良かった… アラブに攻められたら我が国などひとたまりも無い。アラブとのインタビューからイギリスとエジプト包囲網を固めつつあること、フランスもこの同盟に加わることを求められる。 仏「海洋技術が無いため軍事的にはすぐに協力できない」 と言うとあっさり了承され技術同盟に留まることを許される。ちょっと優しすぎるくらい。アラブさん、ありがとうw ここで同盟の証に大量の技術を頂戴する。本当にありがとうw 技術同盟の方針だが、アラブとイギリスで軍事と科学を、フランスは後回しになりがちな政治思想系を受け持つことに決めた。アラブさんのレポによればアラブさんなりの狙いがあったわけだが、フランスとしても「文化勝利」を目指す上で必要な思想系技術を堂々と研究することができ大いに助かる。しかも、アラブさんは当方の態度を軍事的劣勢から来る謙虚さと受け取ったらしい。全く一石二鳥というやつである。 AD590年、アラブ-イギリス連合とエジプトの間で戦争が始まる。こちらは船が無いのを理由に参戦拒否。そもそも作る気も無いのだが。火薬などの最新の軍事技術の供与を受ける一方で、こちらはナショナリズム>憲法>民主主義>企業という順に研究を進める。この頃、キャラベル船でさまよって来たモンゴルを初めとする東側諸国と接触に成功。当方の進んだテクノロジーを見て、モンゴルが”技術同盟”(正確には技術流出)を提案してくるがアラブに対する仁義があるので当然拒否。うかつなことをすれば明日にでも国が消えてしまう。 AD1000~AD1600 AD1000年頃、連合国とエジプトの間で停戦が成立。エジプトは連合軍に3、4の都市を占領され、首位から脱落。二度と浮き上がることは無かった。終戦の時点でアラブがスコアトップにのし上がる。エジプトの人は敗戦後にマシントラブルでドロップ。戻ることができないそうだ。エジプトはAI管理となる。 この後、ギリシャが領土拡張を目論んで、AIエジプトに宣戦布告。ところがあっという間に肩がつくと思われた戦争が泥沼化する。 ギ「AIに誰かが貢いでる~」 ギ「おいおい、いきなりライフル兵が出てきたぞw」 ギ「なんだこのエネルギーの伸びは」 というギリシャの非難めいた声が上がった。このとき終始無言だったモンゴルさんのせいかなぁ?と思ったが、アラブさんのレポを読むと犯人は他にいたようだ。AIにやられるのも寂しいってことでイギリス、アラブも対AI戦争に参加。それぞれが領土を切り取っていく。そんな感じで比較的安穏な時期が数百年過ぎる。 AD1600年、トップを独走するアラブを技術同盟から排斥し、イギリス、ギリシャ、フランスでアラブ包囲網を作ろうという話が出てくる。これは非常に悩ましい提案であった。フランスに対しガレー船で侵攻できる国家はアラブしかいない。それ以外の他国がフランスを攻めるには、アラブの了解を得て領海を通過するかガレオン船団を構築するしか無いのだが、スコア下位の文明を攻撃するのにそんな手間のかかる作業をするとは考えにくい。よってアラブ以外の文明との外交は比較的おざなりにしても良いのである。 しかし、 アラブと他国の戦力差が開き過ぎるとプレイヤーの間で厭戦感情が広まり、アラブ勝利でゲームお開き~となりかねない。かといって、アラブが劣勢になれば国力を増進するために我が国を軍事的に併合しかねない。要するにフランスとしては逆転可能な範囲でアラブに微妙な首位の座を守ってもらうのが一番好ましいのだ。 結局イギリスの提案を呑み、アラブ包囲網に加わることにしたが、ここで一計を案じる。フランスは軍事力グラフの低さ(戦士数体)からスコアが低く弱小国と見られているが、都市は五つあり序盤から地道な小屋スパムを行った成果によりGNPも高く、研究力はギリシャやモンゴルと比べてもさほど見劣りしない。見劣りしないのだが、研究費スライダーを100%から60%まで下げ、文化力スライダーに投入する。つまり技術同盟に対する緩やかな背信を行う。研究費の割合は時代が経つにつれますます下がっていくことになる。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (gnp.JPG) 他国が軍事技術の開発に進む一方で、フランスは科学的手法から共産主義に向かう、国有財産マンセー。共産主義まではフランスにとっても有用であるためそれなりの研究費を投じる。AD1800年ごろ?イギリスがアラブに対し宣戦布告。フランスも参戦を要求されるが、沿岸護衛のアラブ軍がフランスの全勢力(カタパルト二体、騎士一体、銃士隊一体)を上回っていることを理由に参戦拒否。 英「何故軍備を作らないの。」 仏「平和主義を選択しているから。」 ここで根本的に平和主義の理由を問われると非常に回答に困る(偉大な芸術家量産体制)のだが、イギリスはそれ以上追求してこなかった。良かったw 更にもう一つの同盟国ギリシャにも参戦を要求される ギ「ユニットを作ってアラブの背後を突いて。」 仏「軍事ユニットがいないので、参戦するのに時間がかかります。」 仏「ギリシャさんが先に参戦してください。」 ギ「言われなくても次ターンでそうする。」 ギリシャ参戦。ここからは忍耐の時間である、どれだけ気配を消せるかが鍵、、、とその時、モンゴルがイギリスに対し宣戦布告! 「えー、なんで首位を支援するの~?」という声が上がる。おいおい困るよモンゴルさん、俺が戦争に協力しないのもアラブ連合に参加しているからなどと勘違いされるじゃんか。 ここで孤島の国アステカがパワーバランスを理由にアラブ包囲網に加わることを宣言。予想通り対アラブ参戦を要求してくる。 アス「ユニットを作ってアラブの背後を突いてよ。それともアラブに協力してるの?」 仏「(焦りながら)いやっ、まじでっ、そんなことないっす! 」 仏「実はアラブさんに脅されていて(嘘)、監視を置かれているので(嘘)」 仏「戦争に参加できないんす。でもイギリスさんを技術で支援しますよ。」 仏「現在大量生産研究中(嘘ではないが全力でやってない)、間にあえばいいな~。」 仏「そんなことよりアステカさん、モンゴルさんの背後突けません?」 アス「それは可能だ。次で宣戦布告する予定。」 仏「お願いします~」 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (power.JPG) そんなやり取りをしている間にイギリスの都市が次々と陥落。イギリスが決定的敗北をしたらゲームがお開きになってしまう! 慌ててスライダーを100%に戻し大量生産の研究を急ぐ。途中まで研究してあったので直ぐに完成、同盟各国に配布する。その際、フランスはアラブ包囲網の味方という点を必死にアピールする(ちょっと白々しいか)。 一方、公約通りアステカはモンゴルに宣戦布告。モンゴルはそれを予期していたのかすぐに対イギリス戦争を中止しアステカ反撃に転じる。序盤はアステカがモンゴルの都市を占領するも、あっという間に形勢逆転。 アス「ウチの首都がモンゴルに包囲されてる」 仏「…やばそうですか?」 アス「かなりやばいよ。フランスは(軍事的に)何してるの?」 仏「(わざと質問を曲解して)現在ロケット技術を研究中です~。完成次第皆さんに配ります~」 呆れられたみたい… でも我が国の狙いを悟られるわけにはいかない。同盟を結んでいてもあなた達、味方じゃないですもん(酷)。アステカはアラブに次いでフランスに距離の近い文明だ。つまり軍事を放棄したフランスにとって最も危険な文明の一つである。非協力的なフランスの態度に最も不信感を抱いているのもアステカだった。心の中で「モンゴル頑張れ~」とエールを送る。もちろん、具体的なことは何もしない。この時点では何もしないのがフランスの国是である。 残り50ターン 事態は混沌としてくる。AIエジプトが突然ギリシャに宣戦布告。外交関係図から判断するにモンゴルの差し金のようだ。更に最下位のペルシャがイギリスに宣戦布告。このペルシャの判断に各国から「意味不明~」と驚愕の声が上がる。ペルシャは半島状の領土の先端に押し込められている小さい国家でイギリスと直接領土を接しておらず、陸路から攻めるにはギリシャの通行許可が必要。ギリシャも当然通行許可を取り上げるだろう。何が起きたのかよく分からないがペルシャはすぐに戦争を取り下げる。これで戦争を経験していない文明はフランスだけになってしまった。。。ホント、お願いしますよ、次にウチの出方が注目されちゃうじゃないですか。 英「フランスもペルシャも何を考えてんのさ~?」 人のことを言えた義理じゃないが、ペルシャさんはホント何やってんのw イギリスとアラブの戦局は一進一退で、戦争はかなり長引きそうな感じだ。詳しい状況はアラブレポを読んでもらいたい。途中何度かギリシャやアステカから外交チャンネルの電話が入るが、気がつかない振りをして技術同盟の自然消滅を狙う。実は既にロケット技術の研究を停止しており、スライダーを100%文化力に傾けていたのだ。外交窓を開いたらロケット技術がいつになっても完成しないのがばれてしまう。 さらに理由がもう一つ。文化勝利を狙う上で必要なテクノロジーは一通り揃ったので、これ以上テクノロジーをもらってスコアで目立ちたくなかった。軍備がほぼゼロであるにも関わらず、スコアがペルシャ、アステカを超えてしまっている。これ以上は算出式に不審を抱きタネに気付く人間も出てくることだろう。 残り40ターンくらいで意外にも敵対関係にあったモンゴルより対アラブ包囲網の参戦依頼が寄せられる。要するにアラブの首位独走をどこの国も看過できないというわけだ。アステカとは名目上戦争状態が続いているが、実際には停戦合意が交わされアラブ包囲で意見が一致しているらしい。 モ「残り30ターンになった時点でペルシャを含む全文明がアラブに攻撃する。フランスも協力して欲しい。」 仏「了解した。」 一言だけ答えておく。もちろん単なる口約束。この辺でAIエジプトが滅亡したか? よく覚えていない。フランスとしては興味の無い話だ。 この時点で各都市の文化力は平均15000ほど(勝利に必要なのは25000)、誰かが勝利条件を見れば一目瞭然なのだが… 目立つのはまずいが余り静かでもやはり目立ってしまう。心に刃を潜ませると書いて忍ぶ時期である。ここで全体チャットで関東風うどんやカレーうどんの話(謎)を振って場を和ませつつ、勝利条件から話題をずらすのを忘れない。 この頃、スコットランドヤードを完成させ、スパイを二体大陸に送り込む。ギリシャでマンハッタン計画が完成寸前。アラブには教える必要は無いだろう、見なかった振りをする。 残り30ターン AD1900頃、ギリシャのマンハッタン計画が完成。 英「おー、マルチでついに完成したね~」 仏「何が完成したんですか~」 英「え、マンハッタンだよ、見てなかった?」 仏「ついにヒロシマの悲劇が…八月ですね~」 如何にも世界の情勢に疎いようにとぼけてみる。 その直後、アラブがICBMと戦略防衛構想(SDI)の開発を開始。イギリスとギリシャは少しでも軍事力を確保したいのかSDIを作ろうとしない。これでは来るべき核戦争が一方的な展開になり、アラブ勝利でお開きになってしまうではないか。お互いに潰し合ってくれないと困るよ。 イギリス、ギリシャ、アステカにアラブのSDI開発の進捗状況を教える。これには非協力的なフランスのイメージを払拭する意味合いもある。実際、大いに感謝された。イギリスとギリシャから資金援助を受け開発中のSDI破壊にトライし成功(費用約1900ゴールド)。チャットでは何も言わないがアラブの人の悔しがってる姿が目に浮かぶようだ。SDI開発は即座に再開される。 3ターン後、再度SDIの破壊を試みるが失敗。スパイは拘留尋問され、アラブに明確な敵意があることがばれてしまった。が、弱小国フランスなど相手にしている暇は無いようだ。SDI完成前に核戦争を開始するよう各国に提言する。 残り15ターン 当初の予定より開戦が遅れたが、ギリシャのICBMを皮切りに核戦争の火蓋が切られる。報復の核攻撃が大陸全土で飛び交う中、アステカ島からも数発の発射を確認。もちろんアラブはこれにも応射。早速アステカ唯一のウラン鉱が破壊されるが、フランスはすぐさまアステカにウランを輸出。アラブさんレポによるとフランスのウラン鉱は黙認したとあるがこれが仇になった形である。3ターン後、アラブのSDIが完成するが、何発かは迎撃衛星を潜り抜けアラブ領土に着弾する。先進国のスコアは着々と低下し全体的に平滑化される。が、各国とも微妙にアラブに追いつかない。筋書き通りの展開だ。 世界各地で地球温暖化現象が確認される。フランスでも首都パリと第三文明都市リヨンで地球温暖化の影響を確認。都市の生産力が低下し文化算出が危うくなる。なんてこった! リベラルの国フランスは「表現の自由」を残しつつも「奴隷解放」宣言を撤回、「カースト制」に移行する。しかし、この政策転向の意図を理解できた文明はいなかった。市民に鞭打ち都市を餓死状態に追い込みつつも芸術家の数を増やし文化活動に活を入れる。 英「もう、逆転の目は無いな…」 アハハ、1940年イギリスが諦めの言葉を発する。残り10ターンである。 アラブ「あとはギリシャの外交勝利くらいか?」 ん? そんな話があるのか? AD1942 AD1942年、ギリシャの手により国際連合が完成する。三年後の事務総長戦でイギリスかギリシャに票を集め、連名勝利で幕を閉じようという訳である。ここでアラブにちょっと焦りが見える。しかし駄目だね、君たちは何も分かって無いよ! 仏「皆さん、盛り上がっているところ申し訳ないが」 仏「ここにフランスの単独勝利を宣言する」 他国「え?」「ん?」 平和主義で溜め込んだ偉大な芸術家たちを一気に爆発させる。 仏「芸術は、爆発だー!」 リヨンの文化が全盛になりました。 オルレアンの文化が全盛になりました。 パリの文化が全盛になりました。 アラブ「そっちかーーー」 英「あちゃー」 モ「…(寝落ちらしい)」 他国が我が国に対し一斉に宣戦布告、パリにアラブとギリシャのICBMが飛んでくる。何気にヒドいだろ…。しかし反撃はそこまで。1ターンで都市を占領できなければ意味は無い。 英「やっぱ間に合わないなw」 アラブ「誰か気づけw」 ギ「俺は気づいていたんだけど…」(←ホントですかw) #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (culture.JPG) 七時間に及ぶゲームはフランスの文化勝利でこうして幕を閉じるのであった。
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あらすじ 現代の料理人・ケン。 彼が目を覚ますとそこは戦国時代だった。 京で評判の料理の噂を聞きつけた信長は、強引にケンを自分の料理人にするが…!? +... 現代の料理人・ケン。彼が目を覚ますとそこは戦国時代だった。京で評判の料理の噂を聞きつけた信長は、強引にケンを自分の料理人にするが…!? 伊勢の北畠氏を討伐するため出陣した信長は、料理頭のケンを従軍させる。苦戦 を強いられる中、信長がケンに命じたのは…「おぬしが戦を終わらすのじゃ!」平成 の料理人・ケンが戦国の世で武将を…大名を虜にする! 越前・朝倉氏攻めに、料理人として従軍したケンを待ち受けていたのは、信長の義弟・浅井長政の裏切りだった!絶体絶命の「金ヶ崎の退き口」に遭遇したケンは!? 義弟・浅井長政を討つため出陣した信長は、ケンを敵方の料理人に仕立て上げ、浅井の本城へと送り込む。だが、その正体が見破られ…。戦史を代表する凄惨な戦い「姉川の合戦」が迫る中、ケンは! ? 信長の命により、戦国最大の商業都市・堺へ向かったケン。だが堺の豪商たちは信長に恨みを抱いていた。さらに石山本願寺には奇妙な菓子を作る料理人が! 現代の料理人・ケンを取り巻く状況が目まぐるしく動き始める! 信長が陣を構える大坂と、本拠地・岐阜を結ぶ要路にある宇佐山城。そこを守る森可成のもとに向かったケンだが、その時、森はわずか三千の手勢で三万の浅井・朝倉連合軍と対峙していた。必死に止めるケンだが、森は信長を守るため討って出る! 石山本願寺、浅井、朝倉による包囲網の中で森可成を失った信長は、帝の御前での料理勝負による和睦提案で苦境を乗り切る。だが、平穏もつかの間、新たなる包囲網が出来つつあった。その鍵を握るのは武田信玄! 信長のシェフに関する口コミ #bf 信長のシェフ レビューポイント(5が最高) 選択肢 投票 1 (0) 2 (0) 3 (0) 4 (0) 5 (0) コメント コメント 3巻まで読みましたー。 (2013-07-01 23 33 28) }(document,"script","twitter-wjs"); /script } ,rules [ { "name" "AnyOther", "message" "気に入ったらシェアしてね!", "action" { "type" "button", "text" "Share this page", "verb" "share", "service" "preferred" } }, { "name" "Twitter", "match" { "referringService" "twitter" }, "message" "If you find this page helpful ", "action" { "type" "button", "text" "Tweet it!", "verb" "share", "service" "twitter" } }, { "name" "Facebook", "match" { "referringService" "facebook" }, "message" "Tell your friends about us ", "action" { "type" "button", "text" "Share on Facebook", "verb" "share", "service" "facebook" } }, { "name" "Google", "match" { "referrer" "google.com" }, "message" "If you like this page, let Google know ", "action" { "type" "button", "text" "+1", "verb" "share", "service" "google_plusone_share" } } ]}); /script !-- AddThis Welcome END -- }
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Nobu12 MSG Editer セリフや列伝が格納されているMsgを変更できるツール Net Framework 2.0が必要 注意 PK1.0のmsgをPK1.02で適用しようとすると、ずれることがある。逆も Bfile 武将列伝 End エンディング台詞 Kfile 家宝説明 rek 歴史イベント tec 独自技術台詞 trl チャレンジ tut チュートリアル 他にもいろいろ。変な台詞もあってけっこう楽しい これはああああjinzaiを変えて、呼び方を変えている。rootで「わらわ」などの呼称も 使い方 載入msg文件でファイルを選択。今回はwar.n12を使って女武将の鼓舞のセリフを変えます 文字化けしていたら、設定を日文に変更して再起動 工具から検索、武将のセリフは女武将と知将、猛将、普通というふうに分かれています。勘で探します 40と41~42の2つが女武将の鼓舞セリフ。40を変更します\nで改行、enterキーでも改行。 保存変更して終了。ですが、war.n12.bakというバックアップがフォルダ内に作られます これがあると変更が適用されないので、削除します。 革新を起動させて、実際に確認しましょう あざとい感じのツンデレ台詞が完成 台詞によっては、呼び名(この古狸~)や42の場合では「(私達)の力を見せるのです」 といったツール上では見えない言葉が挿入されるので、実際にゲーム上でおかしくないか確認してみてください。 カウンター 今日 - 昨日 - 合計 -